年金分割とは?|行政書士が分かりやすく説明

今回は「離婚協議」をする時の財産分与の1つ「年金分割」についてご説明します。

年金分割の概要

年金分割とは離婚の時に年金の格差を減らすために、婚姻期間中のそれぞれの厚生年金を分割することをいいます。

厚生年金の多い者(第1号改定者)から少ない者(第2号改定者)へ分割することができます。

※「納付記録」を分割します。 お金ではありません。

これにより専業主婦の期間(第3号被保険者の期間)が長く厚生年金の納付実績がなくても将来厚生年金を受け取ることができます。

ここで注意したいのが「厚生年金・共済年金」が対象ということです。

国民年金・企業年金・国民年金基金などは分割の対象ではありません。

「年金分割」という名前ですが全ての年金が対象ではないので間違えない様にしてください。

年金の仕組み

ここでは日本における年金の仕組みについて説明します。

年金の仕組みは3階建てになっているといわれます。

3階企業年金などサラリーマン等厚生年金基金・職域加算
2階・厚生年金
・共済年金
・サラリーマン
・公務員
・報酬比例
・報酬比例
1階基礎年金(国民年金)全国民定額

このように3回建になっています。

「年金分割」の対象は2階部分(厚生年金・共済年金)の部分になります。

年金分割の具体例

例えば

厚生年金基礎年金(国民年金)合計
180万円70万円250万円
0円40万円40万円

婚姻期間中にずっと専業主婦で厚生年金の納付実績がないと上記の様に妻の厚生年金は0円です。

この状態で離婚すると妻の将来もらえる年金は非常に少なくなります。

そこで以下の様に分割します。

厚生年金基礎年金(国民年金)合計
90万円70万円160万円
90万円40万円130万円

この様に分割する事ができます。

年金分割の種類

年金分割の種類は2種類あります。

3号分割制度

平成20年4月1日からスタートした分割制度です。

平成20年4月1日以降で第3号被保険者であった期間については第3号被保険者であった者の申請により自動的に50%の割合で分割されます。

第3号被保険者とは

「第1号被保険者」:自営業者など

「第2号被保険者」:サラリーマン・公務員

「第3号被保険者」:サラリーマン・公務員の被扶養者(扶養家族)

第2号被保険者に扶養されている者をいいます。

「専業主婦」「扶養内で働いて夫の被扶養者になっている者」などの事を「第3号被保険者」といいます。

簡単にいうとサラリーマン・公務員に「扶養されている妻(夫)」のことです。

合意分割

もう1つの分割方法が合意分割です。

これは平成20年4月1日以前の厚生年金・これ以降でも双方が厚生年金に加入していた場合に話合いにより分割割合を決めます。

最大50%の割合で分割できます。

通常は50%で分割する事が多いです。

話合いにより分割割合に合意したら

  • 合意書を作成して年金事務所へ提出(ご夫婦2人で行う必要があります。代理人可)
  • 離婚公正証書(作成している場合はどちらか一方で手続き可)
  • 私署証書(公証役場に認証をもらった私文書の事でこれがあれば一方のみで手続き可)

3号分割は3号被保険者の申請で自動的に1/2で分割されます。

年金分割を申請できる期間

いずれの場合も以下の様に定められています。

離婚等をした翌日から2年以内。

このように定められています。

離婚後でも請求できますが話合いを必要とする「合意分割」は特に離婚前に決めてしまった方がいいでしょう。

離婚後ですと「他人」になりますので話合いの場を設けるのも難しい場合があります。

また離婚前に全て終わらせてしまった方がお互いすっきりしますよね。

最後に

いかがでしたか?

離婚する時は結婚する時と違い色々な手続きが必要になってきます。

この制度を理解するだけでも時間かかります。

分からない事があれば専門家へ相談する事をお勧めします。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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