LGBTQ+任意後見契約書とは|行政書士が分かりやすく説明

今回はLGBTQ+の方々に向けた「任意後見契約書」について解説していきます。

是非、参考にしてください。

「任意後見契約書」はLGBTQ+の方々以外でも有効に活用できますが今回はLGBTQ+の方々に向けた内容になります。

任意後見契約書とは

後見制度とは本人が認知症などになってしまい判断能力が低下してしまった時に「後見人」が財産管理・身上監護などをサポートしていく制度になります。

後見制度には2種類あります。

  • 法定後見制度
  • 任意後見契約

法定後見制度

法定後見制度は本人の判断能力が低下した時に配偶者や四親等内の親族の申し立てにより家庭裁判所が後見人を選任します。

同性パートナーは法律上、配偶者でも親族でもありませんので申立てをする事ができません。

また家庭裁判所が適切と考える人が選任されますので希望する人が選ばれるとも限りません。

この方法では同性のパートナーが後見人になり本人をサポートする事ができません。

そこで以下で説明する「任意後見契約」が有効になってきます。

任意後見契約

「任意後見制度」は判断能力が低下する前にあらかじめ後見人を選んでおく制度になります。

元気なうちに、もし自分の判断能力が低下した時は同性パートナーを後見人にする事を契約できます。

この方法なら同性パートナーに財産管理・身上監護をサポートしてもらう事ができます。

契約になりますので当事者双方の合意が必要になります。

また「任意後見契約書」は必ず公正証書でしなければなりません。

「任意後見契約」はお互いに作成する事が必要です。

任意後見人はどんな事ができるのか

任意後見人のできる主なものとしては財産管理・身上監護になります。

任意後見契約では「代理権」として任意後見人が出来る事を定めます。

公証役場で任意後見契約書を作成する時に「代理権」についても「代理権目録」として作成します。

  1. 不動産、動産等すべての財産の保存、管理及び処分に関する事項
  2. 金融機関、証券会社とのすべての取引に関する事項
  3. 保険契約(類似の共済契約等を含む。)に関する事項
  4. 定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払に関する事項
  5. 生活費の送金、生活に必要な財産の取得に関する事項及び物品の購入その他の日常生活関連取引(契約の変更、解除を含む。)に関する事項
  6. 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入退所契約に関する事項
  7. 要介護認定の申請及び認定に関する承認又は審査請求並びに福祉関係の措置(施設入所措置を含む。)の申請及び決定に対する審査請求に関する事項
  8. シルバー資金融資制度、長期生活支援資金制度等の福祉関係融資制度の利用に関する事項
  9. 登記済権利証・登記識別情報、印鑑、印鑑登録カード、住民基本台帳カード、個人番号(マイナンバー)カード・個人番号(マイナンバー)通知カード、預貯金通帳、キャッシュカード、有価証券・その預り証、年金関係書類、健康保険証、介護保険証、土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類その他重要書類の保管及び各事項の事務処理に必要な範囲内の使用に関する事項
  10. 居住用不動産の購入及び賃貸借契約並びに住居の新築・増改築に関する請負契約に関する事項
  11. 登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書の請求に関する事項
  12. 遺産分割の協議、遺留分侵害額の請求、相続放棄、限定承認に関する事項
  13. 配偶者、子の法定後見開始の審判の申立てに関する事項
  14. 以上の各事項に関する行政機関等への申請、行政不服申立て、紛争の処理(弁護士に対する民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項の授権を含む訴訟行為の委任、公正証書の作成嘱託を含む。)に関する事項
  15. 復代理人の選任、事務代行者の指定に関する事項
  16. 以上の各事項に関連する一切の事項

(日本公証人連合会より引用)

標準的な代理権としては上記のものになります。

これらを「任意後見契約書」の作成時に「代理権目録」として作成します。

任意後見人は「代理権目録」に記載された内容をサポートしていく事になります。

任意後見契約の開始

任意後見契約はどんな流れで開始されるのでしょうか。

本人の判断能力が低下したタイミングで「任意後見契約」をしている任意後見人が家庭裁判所の申立てをします。

家庭裁判所が申立てを受けてから「任意後見監督人」を選任します。

※「任意後見監督人」とは任意後見人が本人の財産などをしっかり管理にているか監督する人のことです。

「任意後見監督人」が選任されると任意後見人は「代理権目録」に記載された内容に基づいてサポートを開始します。

任意後見人は定期的に「任意後見監督人」に管理内容を報告する義務があります。

パートナーシップ合意契約書と合わせると効果的

「パートナーシップ合意契約書(公正証書)」と「任意後見契約書」の2点を作成すると効果的です。

  • 住宅ローンを組む事が出来る
  • 生命保険に加入したり受取人になる事が出来る

※ローン会社・保険会社により事なるかもしれませんので各会社に必ず確認してください。

「パートナーシップ合意契約書」について詳しくは下記の記事をご覧ください。

パートナーシップ合意契約書とは|行政書士が分かりやすく解説

同性パートナーシップ合意契約書とは。 どんな効果があるのか、また契約書への記載項目などについて説明しています。 参考にしてください。

最後に

いかがでしたか。

残念ながら現在は「同性婚」は認められていません。

法律婚と同等の権利義務を得るために色々な公正証書がありますが今回はその中で「任意後見契約」について説明しました。

法律上は配偶者にはなりなせんが大切なパートナーです。

自分が将来、判断能力が低下した時に備えて「任意後見契約書」を作成してみてはいかがでしょうか。

参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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