親に遺言書を書いてもらう方法|行政書士が分かりやすく説明

近年は高齢化に伴い「遺言書」を作成していない為に相続トラブルになる事は増加してきています。

世間でも「遺言書」が見直されてきています。

しかし、まだまだ「遺言書」を作成する人は海外に比べるとほんの一部です。

ここでは親に「遺言書」を作成してもらうにはどうしたら良いか説明します。

また中には「遺言書について勘違い」から作成する事を躊躇している方もいます。

この記事は自分の個人的な見解です。

参考にしてみてください。

「遺言書」を書かない理由を知る。

まずは、親が「遺言書」を作成しない理由を知る事が大切だと思います。

遺言書を作成しない理由

  • 自分が作成するのはまだ早いと思っている。
  • 自分の死後の事を考えたくない。
  • 書かなくても「揉めない」と思っている。
  • そもそも「遺言書」の事が良く分からない。

まだ早いと思っている。

この考えの人は多いです。

「自分はまだ元気でしっかりしているから大丈夫」

こう考えているのです。

ただ、この考えの人は多くのケースで自分の心身の状態に不安を覚えるようになると作成を考えはじめます。

他の記事でも説明していますが、心身の状態に不安を憶えてからでは遅い場合があります。

「認知症」が始まっていたり「病気」が原因で遺言書が無効になってしまう場合があります。

まだ早いと考えている人は「遺言書」自体の必要性は分かっているけど「まだ早い」の他に「面倒」と感じている事が多いです。

説得しようと思い
「高齢になって認知症になってからじゃ遅いんだよ」
なんて言っても親は気分が良くないですよね。

先にご説明したとおり「面倒」も大きな要因だと思います。

無理に説得して作成するように促すのではなく。

「最近、遺言書って気になってて自分は作成しようと思ってるんだけど一緒に作ってみない?」

と言って作成する「きっかけ」を作ってあげると効果的ではないかと思います。

自分の死後の事を考えたくない。

この思いが原因で作成しない人も「説得」をするよりも「遺言書作成の重要性」を遠回しに理解してもらえる様にした方が良いと思います。

死後の事を考えたくない人に「遺言書」の話をしてもなかなか聞く耳をもってもらえない事が多いです。

親も不愉快に感じる人が多いのではないでしょうか。

「遺言書の重要性」を伝える場合ですが、やはり親子間ではなかなか上手く聞いてくれません。

「自分は将来の事を考えて遺言書が気になってるから専門家(士業)に相談してみたいんだけど、何か1人だと不安だから付いてきてくれない?」

などと伝えて専門家(士業)の相談に一緒に行くのも1つの方法です。

遺言書の事についても「息子」から聞くより「専門家」から話を聞いた方が素直に頭に入ってきます。

そこで興味をもってくれれば2人で作成する等も良いと思います。

書かなくても「揉めない」と思っている。

この考えをもっている人の理由は2パターンあると思っています。

✅「自分は財産が少ないからトラブルにはならない」

✅「うちの家族は円満だからトラブルにはならない」

上記の2パターンではないでしょうか。

【財産が少ないからトラブルにならない】についてはこんなデータがあります。

財産総額1000万以下5000万以下1億以下5億以下5億超算定不能
割合34.7%42.9%11.3%6.4%0.6%4.1%

これは令和2年の家庭裁判所で調停になった割合のデータです。

ほとんどを5000万円以下の家族でトラブルになっています。

【うちの家族は円満だからトラブルにならない】

確かに仲の良い家庭はトラブルになるケースは少ないです。

ただ、こんなケースもあります。

「確かに家族円満で仲が良い家庭だったが、その理由は父親の存在のおかげで円満だった」

父が亡くなったら家族の支えがなくなり相続でトラブルに発展した。

この事例にあてはまると思われる場合は、このあたりの話をしてみるのも良いかもしれません。

そもそも遺言書の事が良く分からない。

これも多いケースです。

  • 遺言書と遺書の違いが分からない。
  • 遺言書の効果を知らない。
  • 面倒くさい。

など、基本的に「遺言書」に関して考えた事もないし興味もない場合です。

この場合も基本的に興味がないのですから家族が一生懸命に説明をしてもあまり聞いてもらえないのではないでしょうか。

この場合でも「自分は興味があるから相談に行くんだけど一緒に付いてきて」と話して、まず「遺言書」に少し興味をもってもらう事から始めるのはいかがでしょうか?

最後に

いかがでしょうか。

「遺言書」を作成しておくと様々なメリットがあります。

近年は子供のお願いで親が遺言書を作成する場合が増えています。

ただし「遺言書」は書く人にとっては非常にネガティブな内容になります。

無理な説得はせずに「一緒に相談に行く・作成する」などが円満に作成してもらうコツになる気がします。

また注意していただきたいのが「無理やり遺言書を作成させた」場合は「相続欠格」になり相続権を失います。

「遺言書の作成」や「撤回・変更」は完全に遺言者の自由です。

「相続欠格」になると遺言書に相続させる記載があっても「相続できません」

円満に話し合いをしてみてくださいね。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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