成年後見制度について|行政書士が分かりやすく説明

今回は「成年後見制度」について解説していきます。

是非、参考にしてください。

成年後見制度とは

成年後見制度とは認知症などで判断能力が低下した時に財産の管理をする制度になります。

管理をする人:成年後見人
管理してもらう人:成年被後見人といいます。

成年後見制度には2種類あります。

以下でご説明します。

法定後見

認知症・知的障害・精神障害で判断能力が十分でない人の権利を守る人を選ぶ事です。

判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」にわかれます。

後見人は申立てにより家庭裁判所が最も適任だと思われる人を選任します。

夫の後見人が妻になるとは限りません。

裁判所が選任します。

もし後見人を自身で選任したい時は後で説明する「任意後見制度」を利用しなければなりません。

後見

【対象となる人】 :「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方」

【申請者】    :本人・配偶者・4親等内の親族・検察官など

【被後見人の権利】:財産管理についての代理権・取消権(日用品の購入その他日用品の購入を除く)

後見が1番判断能力の程度が重い場合です。

支援する人を「後見人」といいます。

契約の代理(代理権)・後見人の方が契約した内容を取消す(取消権)を有しています。

ただし後見人の方が「日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く」

これは例えば後見人(判断能力を欠く常況にある人)が歯ブラシなど(日用品)を購入した時は取消しはできません。

日用品などについては、いちいち取消ししていては大変ですし金額的にも大きくない為、取消しはできません。

保佐

【対象となる人】:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である方

【申立人】   :本人・配偶者・4親等内の親族・検察官など

【被保佐人の権利】:民法13条1項に規定の事項についての同意権・取消権(日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く)その他の同意権については個別に申し立てが可能

保佐人についての同意権・取消権については基本的に民法13条1項に規定された内容についてする事ができます。

その他申立てにより裁判所が認めた行為についても同意権・代理権があります。

以下「最高位裁判所HPより引用」

〔民法第13条1項各号に定められている行為とその具体例〕
《1号 元本を領収し,又は利用すること》
・預貯金の払い戻し ・貸したお金を返してもらうこと
・お金を貸すこと(利息の定めがある場合)
《2号 借財又は保証をすること》
・借金をすること(金銭消費貸借契約の締結)
・保証人になること(債務保証契約の締結)
《3号 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること》
・不動産の売却 ・抵当権設定 ・クレジット契約の締結
・不動産の賃貸借契約の締結(下記9号記載のものを除く)及び解除
・お金を貸すこと(利息の定めがない場合)
・通信販売(インターネット取引を含む)及び訪問販売等による契約の締結
・元本が保証されない取引(先物取引,株式の購入など)
《4号 訴訟行為をすること》
・民事訴訟において原告として訴訟を遂行する一切の行為
※相手方が提起した訴訟への応訴や,離婚・認知などの裁判(人事訴
訟)は,保佐人の同意がなくてもすることができます。
《5号 贈与,和解又は仲裁合意をすること》
※贈与を受ける場合は,保佐人の同意は不要です。
《6号 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること》
※被保佐人が遺産分割協議をするには,保佐人の同意が必要です。
《7号 贈与の申込みを拒絶し,遺贈を放棄し,負担付贈与の申込みを承諾
し,又は負担付遺贈を承認すること》
《8号 新築,改築,増築又は大修繕をすること》
・住居等の新築,改築,増築または大修理を目的とする法律行為
《9号 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること》
・民法第602条には,
①樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借は10年
②その他の土地の賃貸借は5年
③建物の賃貸借は3年
④動産の賃貸借は6か月
と定められています。
※賃貸および賃借のいずれの場合においても,これらの期間を超える
契約をするには,保佐人の同意が必要となります

「引用:最高裁判所ホームページより」

補助

【対象となる人】:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く人

【申立人】   :本人・配偶者・4親等内の親族・検察官など

【補助人の権利】:申立てにより裁判所が定める行為の同意権・代理権

被補助人は軽度の認知症です。

基本的に自分でできる事は自分で行うものです。

補助人が出来る事は申立てにより裁判所が定めた内容に限り同意権・代理権が与えられます。

任意後見制度

任意後見制度は自身がまだ元気なうち(判断能力がしっかりしている時)に将来、判断能力が低下したら後見人になってして欲しい人を任意で選任しておくことが出来る制度です。

任意後見契約書を作成する

任意後見契約で後見人を指定する時は自身が元気なうちに「任意後見契約」を結ぶ事になります。

「任意後見契約書」は必ず公正証書で作成しなければなりません。

任意後見人の権利

法定後見と違い任意後見人では「任意後見契約書」で定めた事項について代理権を与えられます。

任意後見人には同意権・取消権はありませんので注意が必要です。

あくまで「任意後見契約書」に定めた内容を代理する事しかできません。

最後に

いかがでしたか。

今回は「成年後見制度」について解説しました。

法定後見・任意後見があります。

ご自身の状況によりどちらが良いとは一概にはいえません。

任意後見契約は認知症になってしまってからではできません。

後見人になってほしい人が確定している時は元気なうちに「任意後見契約書」を作成しましょう。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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