退職金の財産分与について|行政書士が分かりやすく説明

今回は財産分与での「退職金」の取扱いについて解説します。

退職金は財産分与の対象?

退職金は会社を退職する時に支給されます。

退職金は賃金の後払い的な性質を持っているとの考え方から基本的には財産分与の対象になります。

賃金の後払いと考えると夫婦が共同して築いた財産と考える為「共有財産」となります。

財産分与の対象となる退職金の範囲

対象になる退職金の範囲については他の「共有財産」の考え方と同じです。

「婚姻してから離婚(別居)」するまでの期間が対象になります。

【事例】

夫がA会社に勤続20年

妻と婚姻して10年で離婚(別居)

夫の退職金は1000万円

この場合ですと妻と婚姻する前の10年間は夫の「特有財産」となり財産分与の対処ではありません。

「共有財産」となるのは婚姻後の10年間になります。

「特有財産」「共有財産」について詳しくは下記をご覧ください。

退職金の計算方法

離婚(別居)時の退職金✕(同居期間÷勤続年数)=財産分与の対象の金額

この式に当てはめて考えます。

上記事例の場合ですと

1000万円×(10年÷20年)=500万円

500万円が財産分与の対象の金額になります。

将来支払われる退職金

離婚(別居)時に退職金の財産分与をする場合に勤続中であるため退職金が支給されていない場合はどのようにすればよいのでしょうか?

将来支払われる退職金も原則、財産分与の対象になります。

ただし働いている会社に退職金制度自体がない様な場合は、もちろん対象になりません。

その他にも色々な判断材料で退職金が支払われる可能性が高いかどうかを検討します。

将来発生する退職金の計算方法

離婚(別居)時での退職金額×(婚姻期間÷勤続年数)=財産分与の対象金額

離婚時に退職すれば1000万円
婚姻期間10年
勤続年数20年

この場合は

1000万円×(10年÷20年)=500万円

これが財産分与の対象になります。

離婚時の退職金額については会社に規定がある場合は規定を基に算出したり、会社に今退職したら退職金がいくらになるのか確認する方法があります。

この場合は財産分与額は算出できましたが実際に退職金は支払われていません。

将来、実際に退職金を手にした時に配偶者に支払う事を協議書に記載する事もできます。

また、その他の分与財産が有る時は他の財産の分与を調整する事により解決する事もあります。
(離婚時の財産分与で退職金の分与額に相当する財産を先に分与しておく)

すでに受け取っている退職金

これは分かりやすいです。

受取っている退職金額を今までに説明した式に当てはめて算出します。

夫:退職金1000万円(基本的に残っている残高で計算します残高が800万なら800万で計算)
婚姻期間:10年
勤続年数:20年

1000万円×(10年÷20年)=500万円

これが対象の金額になります。

ただし、すでに受け取っている退職金は使ってしまい残っていないケースもあります。

その場合は財産分与の対象にはなりません。

また退職金を基に不動産や株などに形が変わっている場合は変化している財産のままで分与します。

退職金で○○会社の株を1000株購入した場合は株を分与する事になります。

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は退職金の財産分与について解説しました。

退職金の取扱いについては様々なケースがあります。

今回ご説明した内容で協議が整わない時などは弁護士の先生に相談してください。

参考にしてみてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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