遺言書を無視して遺産分割できる?|行政書士が分かりやすく説明

相続が発生して「遺言書」が残されていたが内容に納得できない場合に相続人間で「遺産分割」はできるのでしょうか?

遺言書の効果

「遺言書」が残されていた場合には原則は「遺言書」の内容に従う事になります。

「遺産分割」の後に「遺言書」が見つかった時も原則は「遺言書」が優先する事になります。

どちらも「原則は」です。

場合によっては「遺産分割」をする事ができます。

ではどのような時は「遺産分割」をする事ができるのでしょうか。

遺産分割ができる場合

ここでは「遺言書」があっても「遺産分割」が出来るケースについてご説明します。

相続人全員が合意していること

「遺言書」の内容ではなく「遺産分割」して決める事に相続人全員が合意をしていればすることができます。

【事例】
相続人:長男・次男・長女の3人
「遺言書」の内容は、ほとんどの財産を長女に相続させると記載されている。
しかし長女は今後の相続人との関係もあるので「法定相続分」を基に財産を分けたい。

そのことに長男・次男も合意をしている。

この場合は相続人全員が合意をしていますので「遺産分割協議」をして分ける事ができます。

仮に上記の事例で、長男と次男が「財産が長女に偏り過ぎているから遺産分割協議をして決めよう」

と提案しても長女は「遺言書」の内容よりも自分の取得できる財産が減るので反対した場合は「遺言書」が優先します。

このように「相続人全員の合意」が必要になります。

相続人全員の合意の上で「遺産分割協議」をして決めた時は「遺産分割協議書」にその旨を記載してください。

簡単な文例を下記にご紹介します。

なお被相続人○○○○は〇年〇月〇日付の自筆証書遺言書を作成しているが、作成から時間が経過しており状況も変化しているため、被相続人の意思を尊重しつつ、相続人全員の合意のもとにこの遺産分割協議書を作成した。

こんな内容で記載しておくと良いです。

遺言執行者の意思に反していない事

「遺言書」で遺言執行者の指定がある場合は遺言執行者の同意が必要になります。

「遺言執行者」は対象に遺言書の内容を実現する為に強い権利義務をもっているため合意がないと「遺産分割協議」はできません。

「遺言執行者」は相続人以外で指定されている場合もあります。(専門家など)

その人の合意が必要になります。

遺贈がされていない事

「遺言書」の内容で第三者に「遺贈する」と記載があるときは「受贈者」の合意も必要になります。

※相続人以外の人・団体に財産を渡す事を「遺贈」といい受け取る人・団体の事を「受贈者」といいます。

この場合は「相続人全員」が合意しても「受贈者」が合意していなければ「遺言書」に従う事になります。

遺言書で遺産分割が禁止されていない事

遺言者は「遺言書」で「5年を超えない範囲」で遺産分割を禁止する事を記載する事ができます。

この内容が遺言書に書かれている場合は5年経過するまでは「遺産分割」はできません。

まとめ

以上の内容を満たしていれば「遺言書」に従わずに「遺産分割」をする事ができます。

ただし「遺言者」は色々な想いから「遺言書」を作成して相続財産を定めています。

できれば遺言者の意思を尊重して「遺言書」の内容の通りに分けることをおすすめします。

遺言者も作成する時に「エンディングノート」「付言事項」を活用して自身の想いを相続人に伝える事が重要になります。

特に「特定の相続人に多く財産を相続させる時」は遺言者の想いは相続人に伝えた方が良いです。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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