親権と監護権の違い|行政書士が分かりやすく説明

今回は「親権」と「監護権」の違いについて解説していきます。

「親権」は聞いた事があると思いますが「監護権」は聞いたことがない人が多いのではないでしょうか。

是非、参考にしてください。

親権とは

親権とは離婚する時に必ず決めなければなりません。

簡単にいうとどちらの親が子供を引き取り育てていくのか。

これが「親権」です。

「親権」を細かく見ていくと3つの権利に分ける事ができます。

親権の3つ権利

  • 法定代理権
  • 財産管理権
  • 身上監護権

このように分ける事ができます。

法定代理権

子供が未成年の間は親が法定代理人です。

これは未成年者が何か契約をする時などに親が子供を代理して契約したりする事です。

未成年者が何かをする時に「親の同意が必要」になります。

この同意が法定代理権です。

財産管理権

これは未成年者の「財産を管理」する権利です。

主には未成年者の預貯金の管理がこれにあたります。

身上監護権

子供と生活を共にして身の回りの世話や教育をする権利です。

監護権とは

「親権」でご紹介した

  • 法定代理権
  • 財産管理権
  • 身上監護権

この中の「身上監護権」が監護権にあたります。

この「身上監護権」は「親権」と分けて考える事ができ、その場合に「監護権」と呼ばれます。

つまり「親権」は父親で「監護権」は母親。

このように分ける事も可能です。

「法定代理権」「財産管理権」は父親・「身上監護権」は母親になります。

どんな時に親権と監護権を分けるの?

では「親権」と「監護権」を分けるのはどんな時でしょうか。

実際に分ける事はほとんどない

実際に「親権」「監護権」を分ける事は、ほとんどありません。

通常は「親権」といえば

  • 法定代理権
  • 財産管理権
  • 身上監護権

この3点が「親権」と言われています。

この事からも分かる様に「親権」と「監護権」を分ける事は通常はありません。

どうしても分けなければならないケース

離婚はご夫婦によって事情は様々です。

こんな時は分けたほうが良いなどはありませんが【例】として2点ほどご紹介します。

親権について協議がまとまらない

通常、裁判で親権を決める時は母親が親権者となる事が多いです。

父親は昼間は仕事をしており子育てについては母親の方が時間がとれるケースが多いからです。

① 父親が「親権」に関して強く主張しているが裁判まではしたくない場合に

「親権」は父親・「監護権」は母親

このように分けて「親権」問題を解決する場合があります。

② 「親権」を取得するはずの親が何らかの事情で育てられる環境にない時は分ける場合があります。

「親権」を取得するはずだが海外に転勤になってしまったなど。

親権と監護権を分ける時の注意点

戸籍上は監護権者の記載はない

「親権」と「監護権」を分けた場合に戸籍上は「親権者」の戸籍に入ります。

「監護権」を持っているなどの記載はありません。

万が一「親権」を持っている親から「親権は自分にあるから一緒に暮らす」と言われた場合に「監護権」を主張できません。

「監護権」を証明できる「合意書」を作成しておくと良いです。

この「合意書」が有る事で「監護権」は自分にあると主張する事ができます。

再婚の時にトラブルになりやすい

「親権」:父親
「監護権」:母親

この場合に母親が再婚するとします。

再婚相手の養子にする時に15歳未満の子供の場合には「法定代理人」の承諾が必要になります。

上記のケースでは「法定代理権」は父親がもっていますので養子縁組することに承諾しない可能性があります。

最後に

いかがでしたか?

通常は「親権」「監護権」を分ける事はしません。

仕方なく分けた場合はご説明したようなデメリットがあります。

良く理解して最善の方法を選んでください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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