なぜ遺言書を書かないのか|行政書士が分かりやすく説明

近年は遺言書を作成する人が増加しています。

しかし依然として遺言書を作成しない人が圧倒的に多いです。

今回は「なぜ遺言書を作成しないのか」について解説していきます。

これから「遺言書の作成を検討している人」・「両親に遺言書を作成しておいてもらいたい」と考えている方は是非参考にしてください。

遺言書を作成しない理由

ここでは遺言書を作成しない理由として多いものを紹介します。

縁起が悪い

遺言書は自分が亡くなった後の事を考えて作成しなければなりまさせん。

当然楽しい気持ちで作成するのは難しいと思います。

ただ遺言書を作成する事によって遺された家族へ無用の心配かける事が避けられます。

決して「縁起が悪い事」ではありません。

むしろ家族への「思いやり」として作成するものです。

今は元気だからまだ早い

遺言書の必要性は理解しているが「現在は元気」なのでまだ作成するのは早いと考えている人が多いのが現状です。

多くの人が心身が不安になってきた時に「遺言書」の作成を考えます。

しかし心身に不安が出てからでは遅いのです。

「元気だから」こそ今作成してください。

心身に不安が出てきてからでは以前より年齢も重ねていますし気づかないうちに判断能力が低下している事も考えられます。

判断能力が低下してから作成した遺言書は「無効」になったり公正証書遺言に至っては作成できない事もあります。

特に「認知症」は誰でも発症の可能性があります。

「現在は元気だから」こそ、今作成する事をおすすめします。

財産が少ないから必要ない

このように考えている人も多いです。

以下のデータをご覧ください。

資産の総額調停件数割合
調停の総数5807件
1000万円以下2017件34.7%
5000万円以下2492件42.9%
1億円以下655件11.3%
5億円以下369件6.4%
5億円以上37件0.6%
算定不能237件4.1%

これは令和2年の相続での調停の件数です。

1000万円以下と5000万円以下で77.6%になります。

本人は財産は少ないと思っていても相続人からみると「たいした財産」なのです。

また財産が少ないと考える方ほど遺言書を作成しませんので表の様な結果になっている可能性があります。

財産が少ないから必要ない訳ではない事が分かってもらえたと思います。

自分の家族は円満で揉めないから必要ない

このように考えている人も多いです。

確かに「仲の悪い家族」よりはトラブルになりにくいと思います。

しかし現在、家族円満なのは「あなたの存在があるから」かもしれません。

自分がいなくなった後を想像して不安があるなら遺言書の作成を検討してください。

不安がなくても遺言書を作成して損する事はありません。

子供がいないから必要ない

自分には子供(相続人)がいないから作成する必要がないと考える人もいます。

なにもしなければ、あなたの頑張って築いた財産は「国庫に帰属」します。

相続人がいなくても「お世話になった人」「団体などへ寄付」する事ができます。

相続人ではない第3者へ財産を渡すには「遺言書が必須」になります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

相続人がいないから遺言書は必要ない?|行政書士が分かりやすく説明

相続人がいない時に遺言書は必要なの? お世話になった第3者への財産の渡し方・遺言書を作成する時の遺言執行者や死後事務委任契約の必要性について解説しています。 参…

面倒くさい

遺言書を作成するのは面倒です。

「自筆証書遺言」「公正証書遺言」共に作成するのは面倒です。

しかし作成する事で遺された家族が争う事を防止する事ができます。

また今までの人生で、あなたが頑張って築いた財産です。

どのように分配するか自分で決めたくありませんか?

面倒なのは確かですが是非、作成してください。

両親に遺言書を作成してもらいたい

近年ではお子さんたちがご両親に「遺言書の作成」を希望されるケースが増えています。

今までよりも「遺言書の重要性」が認知されてきています。

しかし「遺言書を書いてよ」とはなかな言いずらいですよね。

以下の記事を参考にしてください。

親に遺言書を書いてもらう方法|行政書士が分かりやすく説明

親に遺言書を書いてもらう方法。 遺言書は大切な生前対策です。 遺言書を書かない理由から両親にどうしたら遺言書を書く気になってもらえるかを説明しています。

最後に

いかがでしたか?

遺言書を作成しておくと相続人間でのトラブルを防止する事ができます。

しかし知識のない状態で作成すると「無効」になったり内容によっては遺言書のせいでトラブルになる事があります。

遺言書の作成は自分でも可能ですが専門家へ相談する事をおすすめします。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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