「遺産分割」後に新たな財産が見つかった|行政書士が分かりやすく説明

遺産分割を行った後に新たに財産が発見される事は珍しい事ではありません。

専門家が財産調査をしていたとしても漏れが出てくる可能性は十分にあります。

では「遺産分割」後に発覚した財産はどどの様に処理をすれば良いのでしょうか。

ご説明いたします。

再度の遺産分割協議は必要なの?

基本的にはすでに行った「遺産分割」はやり直す必要はないです。

新たに見つかった財産についてのみ遺産分割すれば良いです。

ただし以下の場合は新たな財産を含めて再度遺産分割協議をする必要があります。

再度「遺産分割協議」が必要な場合

  • 見つかった財産が相続財産の総額と比べて額が大きく、知っていればか必ず含めて遺産分割していた時
  • 相続人が財産を隠していた。

このような場合は見つかった財産も含めて再度の「遺産分割協議」が必要になります。

債務(借金)が見つかった場合

先ほどはプラスの財産の場合の話でしたが、マイナスの財産(借金)が見つかった場合はどうなるのでしょうか。

原則「遺産分割協議」は必要ない

マイナスの財産(借金)は「遺産分割」の対象ではなく相続人の間で当然に共有されます。

1000万円の借金があり相続人は配偶者と子供1人の場合

配偶者の法定相続分1/2=500万円
子供の法定相続分1/2=500万円

このように共有されますので「遺産分割」する必要はありません。

当事者間で「子供が借金は全額相続する」と決める事はできますが、あくまでも当事者間で有効であって債権者に対しては効力をもちません。

上記の事例ですと「1000万円の借金を子供が全額相続する」と定めていても債権者の銀行等は配偶者に対しても返済するように請求する事ができます。

この場合に配偶者が返済した時は配偶者は子供から返済してもらう(求償)ことができます。

このような扱いですので原則「遺産分割」は必要ないです。

相続放棄・限定承認

見つかった債務(借金)が多額だった場合に「相続放棄」「限定承認」はできるのでしょうか。

原則として「遺産分割」をして財産を分けていますので「単純承認」した事になりますので「相続放棄」「限定承認」はできません。

「単純承認」「限定承認」「相続放棄」について詳しくは下記をクリック

ただし過去の判例で

「見つかった債務(借金)が予測できなかった程多額の場合はできる場合がある」としています。

「相続放棄」「限定承認」ができる可能性もあります。

新たな財産によるトラブルを防ぐには

やはり「遺産分割協議」はトラブルが起きやすいです。

トラブルを予防するには、どうすれば良いでしょうか。

新たな財産が見つかったらどうするか「遺産分割協議書」に記載

「遺産分割協議書」を作成する時に「新たな財産が見つかった場合」どう対処するか記載しておくと良いです。

【例】
「本協議書に記載のない財産または後日発覚した財産については○○○○が取得する」・「後日発覚した財産について○○円以下の場合は○○○○が取得し、それ以上の価額の場合は相続人間で協議する」

などと記載しておくとトラブルになりにくいです。

財産調査をしっかりと行う

「新たな財産」がなければトラブルはおきません。

どうしても漏れてしまう事はありますが調査で漏れていた財産がいくつもあると、やはりトラブルの可能性が高くなります。

全く漏れがないのが理想ですが、漏れがあったとしても最小限にとどめる事が重要になってきます。

まとめ

「遺産分割」後にいくつも「新たな財産」が発見されると相続人間でトラブルも元になります。

また、相続税に関しても「修正申告」が必要になりますので相続税の対象の場合は忘れずに行ってください。

忘れていて「税務調査」が入るとペナルティがありますので忘れずに行いましょう。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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