自筆証書遺言が無効になるケース|行政書士が分かりやすく説明
「自筆証書遺言」は手軽に作成できるのがメリットですが「無効」になってしまうケースも多いのがデメリットです。
今回は「自筆証書遺言」で無効になってしまうケースについてご紹介します。
形式的要件に不備がある
「自筆証書遺言」には法律で要件が定められています。
要件を満たしていない「自筆証書遺言」は無効になります。
全文を自書されていない
「自筆証書遺言」は字の通り自書する遺言書です。
「財産目録」以外は全文を自書している必要があります。
「パソコン」「代筆」は認められていません。
文字を書くのが難しい場合・字は書けるが手が震えて文字が読みにくい場合は「公正証書遺言」を作成してください。
日付が正しく自書されていない
「自筆証書遺言」には必ず日付を記載する必要があります。
確実に日付が特定できない場合は「無効」になってしまいます。
【例】
令和6年8月吉日 ⇒ ✕
令和6年8月1日 ⇒ 〇
このように日付が特定できる様に記載してください。
「遺言書」は複数存在していた場合に日付の新しい方が効力を持つからです。
【令和6年8月1日】に作成したが【令和6年8月15日】に訂正したいので新しく作成した場合に「吉日」と記載されていたらどちらの遺言書が新しいのか分かりませんよね。
氏名が記載されていない
日付とあわせて「氏名」も必ず自書で記載しなければなりません。
自書でなかったり「パソコン」「代筆」では無効になります。
押印されていない
「自筆証書遺言」は必ず押印しなければなりません。
「認印」でも可ですが「遺言書」の信憑性を高める為に「実印」を押印する事をお勧めします。
あわせて「印鑑登録証明書」を添付しておくと更に信憑性が増します。
※「シャチハタ」はダメです。
訂正方法が間違っている
間違えた場合の訂正方法も厳格に決められています。
これが原因で「無効」になるケースも多く「書き直す」事をおすすめします。
私が「自筆証書遺言」の作成サポートをさせていただく時も必ず「書き直し」をしてもらいます。
訂正方法はここでは説明しません。
「書き直し」をおすすめします。
財産目録に署名・押印が無い
「財産目録」については通帳などのコピーやパソコンなどで作成する事が認められています。
ただし財産目録の全ページに署名・押印をしなければなりません。
用紙の両面に「財産目録」が記載してある時は両面に「署名・押印」が必要になります。
これは不動産の登記簿ですがコピーしてページ下部の余白に署名・押印しなければなりません。
自書した文字が読めない・不鮮明
「遺言書」に記載した文字が読めなかったり、不鮮明な場合は「無効」になります。
文字が読めなくて内容が伝わらなのですから当然「無効」になります。
文字を書くのに自信がない人は「公正証書遺言」をお勧めします。
遺言書の内容が曖昧・不明確
遺言の内容が曖昧で不明確な場合は「無効」になる可能性があります。
相続人の人が遺言書を読んだが「意味が分からない」「どちらとも捉えられる」などの内容だと相続人は誰にも確認する事が出来ませんので「無効」になります。
誰が読んでも「同じ内容」に解釈できるように記載する事がポイントです。
【例】
「自宅の不動産は長男にお願いしたい」と記載すると「何をお願いしたいんだろう?」となる可能性がある。
「自宅の不動産は長男に相続させる」と記載すると誰が読んでも意味が分かります。
共同で遺言書を作成している。
ご夫婦で遺言書を作成しようとした時に「2人で1通の遺言書」は作成できません。
法律で「共同遺言」は禁止されています。
1人1通作成する必要があります。
公序良俗に反する内容
「公序良俗」に反する内容は「無効」になります。
代表的な例は「愛人に全ての財産を遺贈する」ような内容は基本的には「無効」になります。
最後に
いかがでしたか?
「自筆証書遺言」は非常に手軽に作成できますがルールを守って作成しないと「無効」になる可能性が高いです。
作成する時は専門家のアドバイスがあると安心です。
また「公正証書遺言」では公証人の先生が作成しますので「無効」になる事は原則ありません。
遺言書を検討されている方は参考にしてみてください。
投稿者プロフィール
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名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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