遺産分割での賃料収入等(果実)の取扱い|行政書士が分かりやすく説明

今回は被相続人がアパートなどを所有していた場合に被相続人の死後に発生した賃料の取扱いについてご説明していきます。

果実とは

「果実」とはフルーツのことではありません。

「果実」とは「物から発生する収益」の事をいいます。

【例】

  • アパートの家賃
  • 駐車場の賃料
  • 株の配当金
  • 銀行の利子

これらのものを「果実」といいます。

今回は「アパートの家賃収入」を例に説明していきます。

遺産分割での「果実」の取扱い

法律上での相続財産は【被相続人が生前に所有していた財産】を指します。

今回のテーマの「果実」は家賃収入等で被相続人が亡くなってから発生した利益です。

法律上の文言にあてはめると「被相続人が亡くなった時点で所有していたもの」ではないですよね。

この判断は過去に色々な判例がありましたが「遺産分割の対象にはならず」

遺産分割が終了して「対象のアパートの所有者が確定した時」からは所有者のもの。

「遺産分割前」は相続人間での共有になります。

【事例】
被相続人がアパートを所有(賃料収入60万円/月)
相続人:配偶者・長男・次男の3人

被相続人が亡くなった後に賃料2か月分(120万円)が発生している。
その後、遺産分割をしてアパートは長男が取得

このケースで2か月分の賃料(120万円)がどうなるか考えてみましょう。

遺産分割前

相続人間での「共有」になりますので

配偶者:1/2(60万円)
長男:1/4(30万円)
次男:1/4(30万円)

このように法定相続分で分割されます。

では長男がアパートを取得した後はどうなるのでしょうか。

遺産分割後

長男が対象のアパートを取得した時点でそれ以後に発生した賃料収入は長男のもの。

このようになります。

遺産分割の対象にする事も可能

遺産分割をする上では「相続人間での合意」が最優先です。

もし「相続人全員の合意で遺産分割前の賃料は遺産分割する」とすれば「遺産分割」の対象になります。

被相続人の遺産の中に賃料収入も入れて「遺産分割」することができます。

最後に

どうでしょうか?

結構、複雑ですよね。

相続人全員で「共有」なのに「相続人全員の合意」があれば遺産分割できるとか。

実務においては他にも色々なやり方があります。

困っている方は専門家へご相談ください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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