遺言書でよくある「勘違い」|行政書士が分かりやすく説明

遺言書について良くある「勘違い」「誤解」についてご紹介していきます。

遺言書の作成を悩んでいる方は参考にしてみてください。

遺言を残したら財産を使えなくなる。

「遺言書」を作成すると記載した財産を使えなくなると勘違いしている人がいます。

「遺言書を作成した時から遺言書の効力が発生」するのではなく
「遺言者の死亡した時に効力が発生」します。

例えば「○○に不動産を相続させる」と記載した場合でも対象の不動産を売却したりしても問題ありません。

売却した不動産については「遺言を撤回したものとみなされます。」

基本的には財産を処分して状況が変わる場合は、書直しする事が望ましいです。

ただ「遺言書」を作成したからといって対象の財産は自由に使えますので安心してください。

財産が少ないから関係ない。

「自分は財産が少ないから遺言書なんて関係ない」と思っていませんか。

相続について家庭裁判所で調停が成立した件数の約35%は「1千万以下」の財産です。

遺言者の方が「たいした財産ではない」と思っていても相続人間においては「たいした財産」なのです。

財産総額1000万以下5000万以下1億以下5億以下5億超算定不能
割合34.7%42.9%11.3%6.4%0.6%4.1%
令和2年度遺産分割事件の財産額

上記のデータを参考にしてください。

ほとんどが5000万円以下で起きています。

「たいした財産じゃない」と思っていてもトラブルは起きます。

うちは仲が良いから関係ない。

もちろん仲の良い家庭ではトラブルは起きにくいです。

ただ家庭が円満なのは、あなたの存在が大きいかもしれません。

あなたが元気で家庭を束ねている結果ではないでしょうか。

「自分がいなくなった家庭」を想像してみて不安が残るなら「遺言書」を作成しても良いかもしれません。

家庭が円満な上に「遺言書」や「エンディングノート」で家族への気持ちを伝えておけば更にトラブルの可能性を下げる事ができます。

遺言を残すには、まだ早い

「現在、自分は健康で元気なので遺言書を作るには早い」と思っている人は非常に多いです。

作成を後回しにしていると知らない内に年齢を重ねてしまい「遺言書を作ろう」と思った時には判断能力が低下していたり病気が進行していたりして「遺言能力」がなかったと判断されて遺言書が無効になる事があります。

「遺言書」を作成するのは「心身共に健康」な状態で作成する事をお勧めします。

遺言を書いたら子供に見捨てられてしまう。

近年は子供の依頼を受けて親が遺言書を作成するケースが増えてきています。

そんな「遺言者」の中には「遺言書を作成したら子供が冷たくなるのでは?」と感じている人もいます。

ただし「遺言書」には法律で以下の規定があります。

✅遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回する事ができる。

✅遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。

✅遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

このような規定がありますので、何かあれば「遺言書」は自由に撤回・変更できますので安心してください。

最後に

いかがでしたか。

今回ご説明した「勘違い」「誤解」によって遺言書の作成をためらっている人を良く見ます。

この記事を参考にしていただいて「遺言書」の作成を検討してみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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