離婚でのペットの所有者は?|行政書士が分かりやすく説明

今回は離婚する時に飼っていたペットの所有権はどうなるのかを解説します。

ペットは家族同然の存在です。

離婚の際にどちらが引き取るのかどのようにして決めていけばよいのでしょうか。

法律におけるペット

自分もワンちゃんを飼っています。

本当に家族同然の存在です。

しかし日本の法律ではペットは「物」として扱います。

「物」といわれると「物じゃない!」と思われる方もいると思います。

自分もそう思います。

しかし法律ではそうなっています。

財産分与の対象?

先にご説明した様にペットは「物」として考えます。

子供の様に親権などは決める事ができません。

戸籍もありませんしね。

「物」と考える以上は財産分与の対象になるのでしょうか?

結論としては他の「物」と同様に財産分与の問題になってきます。

なんか扱いが残念ですよね。

財産分与の対象になる基準時

ペットも「物」として扱うわけですから他の財産分与と同様に基準時があります。

「婚姻~別居(離婚)」までに取得したペットは財産分与の対象になります。

対象外なのは「婚姻前からどちらか一方が飼っていたペットです」

これは飼っていた人間の「特有財産」となり財産分与の対象ではありません。

元々の飼い主がそのまま引き取る事になります。

どちらが引取るのか

財産分与の対象なのはお分かりいただけたと思います。

協議(話合い)で決める

これが一般的です。

協議の場合はどちらに決めても問題ありません

以下の事を参考に決めるとよいのではないでしょうか。

  • どちらになついているのか
  • お世話をよりしてあげられるのはどちらか
  • 飼育する環境が整っているか

これらを基準に決めなければならない訳ではありませんがペットの事も考えて上記の事項を参考にきめてみてはいかがでしょうか。

どちらになついているか

ペットからしても今まで一緒に暮らしていた家族と突然会えなくなってしまいます。

せめてなついていた人に引き取られた方がストレスが少ないのではないでしょうか。

お世話をよりしてあげられるのはどちらか

これも大切だと思います。

例えばご主人が引取ったが1日中仕事でほとんど家にいない状態。

こんな場合はペットも1日中1人で留守番する事になります。

かわいそうですしストレスが溜まってしまいます。

少しでもペットのために時間を使える人が引取った方が良いと思います。

飼育する環境が整っているか

離婚後に住むマンションなどが「ペット不可」であればもちろん引取ることはできません。

面会交流できる?

ペットの引取る人が決められた場合に一緒に住まなくなった人はペットと「面会交流」できるのでしょうか?

「面会交流」は子供に対する概念ですのでペットに対しては「面会交流」という考え方はありません。

ペットに会わせてくれないから訴えてやる!ことはできません。

あくまで「物」として扱います。

面会する事の取決めは可能

「面会交流」という概念はありませんが「面会」する事を決める事はできます。

「月1回」「2週間に1回」などの面会についての取決めをするのは双方の協議で可能です。

夫婦の関係性が悪い状態の離婚ですと「面会」の取決めは難しいかもしれません。

ペットの養育費はあるの?

「養育費」についても子供に対する概念で「物」であるペットに「養育費」はありません。

でも引取った方はペットを飼育していくのにお金がかかります。

飼育費用の取決めはできる

「養育費」ではないですが「飼育費用」として協議して決める事はできます。

「月にいくら支払う」「年にいくら支払う」などの取決めも可能です。

この内容を「離婚公正証書」にしておけば支払がない時は「強制執行」をして財産の差押えをする事も可能です。

そこまでするかどうかはご夫婦の関係性次第ですが。

双方が引取りができない時

色んな事情から2人とも引取る事が出来ない場合もあると思います。

そんな時はどうすれば良いのでしょうか?

絶対に捨ててはいけない!

引き取れないからといって「捨てる」のは絶対ダメです!

動物愛護法に違反する事もそうですが、それ以上に人としてダメです!

飼った以上は責任を持ちましょう。

里親を探す

1番おすすめです。

新しい「里親」を探してください。

ネットを利用したり譲渡会に参加するなどしてペットの新しい家族を見つけてあげてください。

「里親」になる人の見極めもしっかりしてあげてください。

「里親」によってはペットが不幸になる事もあります。

自分達と離れても幸せに暮らせるようにしてあげてください。

動物愛護センター

動物愛護センターへ相談する手段もあります。

保護をして「里親」を探してくれます。

しかし長期間「里親」が見つからない時は殺処分も考えられますので慎重に検討する事が必要です。

保健所

最近は簡単に殺処分しない自治体が増えてきましたが保健所へ渡したら命の保証はありません。

最後の手段として検討してください。

最後に

いかがでしたか?

ペットは法律上は「物」として扱われますが「命があります」

夫婦が離婚してしまうのは色々な事情があり仕方のない部分もあります。

ただそれによって「大切な家族」であるペットを「物」として扱わないでください。

生き物を飼ったからには責任があります。

引き取れないとしてもペットが最後まで幸せに暮らせるように考えてあげてください。

大多数の人がしっかり考えて行動していますが、捨ててしまったりする人が一定数いるのも事実です。

自分はペットは法律上の「物」ではなく命をもった自分達と同じ「生き物」と考えています。

しっかりとした対応をしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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