遺言書が原因でトラブルに!?|行政書士が分かりやすく説明

遺言者は、自身が亡くなった後に相続人が揉めないように遺言書を作成しますが確実な知識の基に作成しないと遺言書のせいでトラブルに発展してしまう事もあります。

せっかく遺言書を作成したのに逆にトラブルになってしまっては本末転倒ですよね。

ここでは遺言書が原因でトラブルになるケースをご紹介します。

遺言書作成の参考にしてください。

「遺留分」を侵害する内容の遺言書

「遺留分」とは簡単にいうと各相続人が保証されている最低取り分の事です。

「遺留分」について詳しくは下記をクリック


【例】父親がなくなり相続人は配偶者(妻)と子供2人 計3人の場合。

このようなケースで下記の様な内容の遺言書を作成すると子供の「遺留分」が侵害されてしまいます。

「自分の財産は全て妻に相続させる」内容の遺言書を作成していた。

これですと子供2人の「遺留分」が侵害させれおり、子供が「遺留分侵害額請求」(遺留分を請求すること)をして母親との間でトラブルになる。

遺言の内容が曖昧

遺言書に記載されている内容が曖昧で不明確の場合です。

【例】〇〇県にある不動産は長男に任せる。

このように記載があった場合に、不動産の場所の特定もできていないし土地なのか建物かも分かりません。

また「任せる」とはどういう意味なのだろう?

となってしまいます。

このケースですときちんと土地・建物を分けて全部事項証明書(登記簿謄本)に記載されている通りに「地番」「家屋番号」などを記載して

「任せる」ではなく「相続させる」と書くと誰が見てもはっきり分かりますよね。

「家族だから、この表現で伝わるだろう」ではなく誰が読んでもわかる様に作成しましょう。

※不動産の特定に関しては財産目録として全部事項証明書を添付して自書しない事もできます。

遺言書の字が読めない。

上記の「遺言書の内容が曖昧」と意味合いとしては同じです。

  • 字が読めないので内容が分からない。(または曖昧)

これだと相続人は被相続人に「何てかいてあるの?」なんて聞くことはできませんので困ってしまいます。

ご高齢になると、どうしても字が読みにくかったり手が震えてしまい上手く書けない事があります。

そんな時は「自筆証書遺言」ではなく「公正証書遺言」で作成すると良いと思います。

公証人の先生が作成してくれますので、うまく字が書けなくても作成できます。

遺産分割の後に遺言書が発見された。

相続人が遺産分割を終わらせた後に遺言書が発見されると基本的に遺言書の内容が優先されます。

相続人は遺産分割によって分配した相続財産を遺言書の内容に沿って分割し直す事になります。

面倒ですし相続人の中には遺産分割協議で決めた相続分より遺言書の内容だと少なくなる人もでてくるので「遺言書の無効」を主張するケースもありトラブルになる事があります。

なるべく遺言書が発見されるように、「自筆証書遺言」は、ご自身での保管ではなく法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用する事をお勧めします。

「自筆証書遺言書保管制度」について詳しくは下記をクリックしてください。

「遺言能力」はあったのか

「遺言能力」は簡単にいうと認知症だったかどうか、だと思ってもらって良いと思います。

「遺言能力」がない状況で作成された遺言書は無効になる事があります。

以前から認知症が発症しているが

【この遺言書は認知症になってから作成されたのではないか。】

遺言書の「有効」「無効」でトラブルになる事もあります。

※遺言書の作成は元気なうちに作成する事をお勧めします。

最後に

様々な理由からトラブルに発展する事が分かってもらえたと思います。

遺言書作成時に気を付ける事

  • 遺言者自身が元気な時に作成しておく。
  • 遺言書の内容は「曖昧」にならない様にする
  • 「自筆証書遺言」の保管は法務局の保管制度を利用する。
  • 字がうまく書けない時は「公正証書遺言」を作成する。
  • 「遺留分」に配慮する。
  • 作成時は専門家へ相談する。


せっかく苦労して作成した遺言書で相続人がトラブルに発展すないように上記の事に気を付けて作成してください。

自信がない時は専門家へ相談するようにしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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