自動車の財産分与|行政書士が分かりやすく説明

今回は財産分与での自動車の取扱いを解説していきます。

自動車は財産分与の対象なのか?

婚姻中に購入した自動車は「共有財産」となり基本的に財産分与の対象となります。

ただし以下のケースでは財産分与の対象になりません。(特有財産)

財産分与の対象とならない場合

  • 婚姻前から所有している財産で自動車を購入している。
  • 相続や遺贈によって取得した自動車。

例えば【夫が婚姻前から持ってる預貯金で購入した自動車】や【相続などによって所得した自動車】は夫婦で共同して購入していませんので財産分与の対象にはなりません。

夫の「特有財産」となります。

財産分与の対象となる基準時

基本的な考え方は他の財産と同じ考え方です。

「婚姻~別居(離婚)」の期間に購入した自動車が対象になります。

これは対象財産であることを確定する基準時になります。

自動車の評価の基準時

財産の確定の基準時は別居(離婚)するまでになります。

ここで解説するのは、どの時点での自動車の評価で考えるかです。

自動車の評価の価格は時期により異なります。

場合によっては1日で価格が変わってしまいます。

この評価はいつするのか?のお話です。

これは財産分与時(離婚時)になります。

【例】

2024/1/1に別居。(対象となる財産の確定の基準時)

2024/6/1に離婚。(自動車の評価の価格の決定の基準時)

例えば、2024/2/1に夫が購入した自動車は夫の「特有財産」となり財産分与の対象にはなりません。

このようになります。

自動車の評価方法

まず評価額を算出するのに以下の情報は必要です。

  • メーカー名
  • 型式
  • 年式
  • 走行距離

自動車の評価額の算出方法

  • 上記の情報からインターネットで買取価格を調べてその平均の価格
  • 買取業者などに査定を依頼する。

これらの方法があります。

買取業者の査定が1番納得できると思いますが売却が前提でない場合は査定するのにお金がかかる場合もあります。

自動車ローンが残っている場合

査定額のが多い場合(アンダーローン)

ローンの残高より査定額のが多い場合を「アンダーローン」といいます。

「評価額」-「ローン残高」=財産分与の価格になります。

【例】

自動車の評価額:200万円

ローン残高:100万円

200万円-100万円=100万円

100万円が自動車の評価額になります。

この評価額を基に分与していきます。

ローン残高のが多い場合(オーバーローン)

自動車の評価額よりもローン残高のが多い場合を「オーバーローン」と言います。

上記でご紹介した計算方法だと自動車の評価額がマイナスになってしまいます。

この場合は残ったローンを夫婦で分けるのでしょうか?

「オーバーローン」の時は財産分与の対象にはなりません。

名義人がそのまま所有して「ローンを返済」していく方法や他の分与財産からローンを返済して調整するなどの方法が考えられます。

また「自動車ローン」が残っている場合は車検証の所有者がディーラー・ローン会社になっている場合が多いです。

この場合は所有者であるディーラー・ローン会社に相談してからでないと売却する事はできません。

分与方法

大きく分けて3パターンあります。

自動車の分与方法

  • 名義変更しない。
  • 名義変更する。
  • 売却する。

それぞれみていきます。

名義変更しない

名義変更しないで分与する方法です。

現在の名義人がそのまま自動車を所有します。

【例】

自動車名義人:夫

自動車の査定額:200万円

ローン残高:100万円

上記のケースでは「200万円-100万円=100万円」が分与の対象の額になります。

名義はそのまま夫が自動車を取得し100万円の1/2にあたる50万円を妻へ支払ます。(分与は原則1/2)

この方法を「代償分割」と言います。

これは基本的な考え方です。

その他の分与財産も考慮しながら協議の上決定していきます。

名義変更する場合

この場合でも「代償分割」を用いて分与する事になります。

【例】
自動車名義人:夫
自動車の査定額:200万円
ローン残高:100万円

先ほどと同じ事例ですが

この場合は名義を夫⇒妻へ名義を変更して妻が50万円を夫へ支払う事になります。

もちろん、その他の分与財産を考慮しながら決定していきます。

売却する場合

この場合は「売却代金を1/2」ずつ分与する事になります。

ただしローンが残っている場合は基本的にローンを全額返済しないと売却できませんので注意してください。

最後に

いかがでしたでしょうか?

自動車の分与方法も状況によって様々です。

今回、ご紹介した方法も基本的な考え方です。

他の分与財産を考慮して上手く調整しながら分与していくのが実務になります。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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