財産が少ないから揉めない?|行政書士が分かりやすく説明

「家は財産が少ないから揉める事はない」と思われている方が多いです。

本当に「財産が少ない」と揉めないのでしょうか?

ご説明します。

家庭裁判所での調停のデータ

財産総額1000万以下5000万以下1億以下5億以下5億超算定不能
割合34.7%42.9%11.3%6.4%0.6%4.1%
令和2年度遺産分割事件の財産額

「令和2年度」の家庭裁判所の調停が成立したデータになります。

いかかでしょう財産が1000万以下・5000万以下を合わせて全体の75%以上になります。

調停が成立する75%は5000万以下なのです。

1000万以下でも約35%です。

このデータを見ていただければ「財産が少ない」から揉めないはウソだと分かってもらえると思います。

揉めてしまう理由

何故「財産が少ない」のに揉めてしまうのでしょうか。

1. 不動産の割合が多い

5000万円以下の財産の場合に「不動産」の占める割合が多くなる傾向になります。

この「不動産」は原則割合で分ける事ができません。

預貯金であれば1000万あるから500万づつ分ける事は可能ですが「不動産」の場合はそうはいきません。

もちろん「共有」「換価分割」「代償分割」など方法はありますが、それぞれデメリットがあります。

ここでは上記の分割方法については触れません。

【事例】
相続財産が3000万円(不動産2000万円・預貯金1000万円)
相続人:長男・次男の2名

上記の事例で考えてみます。

各相続人の法定相続分は1/2ずつになりますので

長男:1500万円
次男:1500万円

これが法定相続分になります。

ただし長男が「不動産」を相続すると

長男:2000万円
次男:1000万円

各相続人の相続分は上記になってしまいます。

次男からみれば本来は1/2の1500万相続できるのに1000万になりますので不満をもちますよね。

これがトラブルの元になります。

2. 相続人間の仲が良くない

これも良く聞くパターンです。

相続人間の仲が悪いとお互いが少しも譲らないことでトラブルに発展します。

相続財産を法定相続分の割合の通りにきっちり分けることは非常に難しいです。

3. 相続財産が少なくて揉めてしまう。

【事例】
母親が亡くなり、父はすでに他界している。
相続人:長男・次男の2名
長男は母親と同居しており財産を把握していた。

上記の事例で説明します。

何となくお分かりかもしれませんが、長男は財産を把握しています。

次男は長男から財産の総額を知らされます。

次男が予想していた財産より少ない場合に「長男が財産を隠しているのではないか?」「こんなに少ない訳がない」など財産が少ない事により疑義が生じる事があります。

これがトラブルの元になります。

4. 知らない相続人との間で揉める

被相続人の方が再婚だった場合の「先妻との子供」や「認知した子供」は法定相続人になります。

現在の子供達からすれば相続が発生したら突然知らない相続人が現れて「遺産分割」をする事になります。

現在の子供達からすれば「おまえら関係ないだろう放棄しろよ」となります。

「知らない相続人」の対応によってはトラブルになります。

相続人間のトラブルを防ぐには?

ご説明してきた「相続人間のトラブル」を防ぐには「エンディングノート」「遺言書」の活用が有効になってきます。

「エンディングノート」「遺言書」について詳しくは下記をクリックしてください。

  • 財産を確実に記載しておく(マイナスの財産も)
  • 相続させる人を明確にする。
  • 「エンディングノート」「付言事項」を活用して自分の想いを伝える
  • 「知らない相続人」の存在を「遺言書」などで伝える。

最後に

いかがでしたか?

先に紹介したデータからも「財産が少ない」から揉めないはウソです。

様々な理由からトラブルは起きます。

是非「エンディングノート」「遺言書」を活用を考えている方は参考にしてみてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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