エンディングノート・付言事項の重要性|行政書士が分かりやすく説明
今回は「相続」が「争族」にならない為に有効な「エンディングノート」「遺言書の付言事項」についてお話したいと思います。
「エンディングノート」も「付言事項」も法的効果はありませんが、私はこの2つは遺言書の内容以上に重要視しています。
もちろん「遺言書の内容」は重要ですが、それ以外の「家族へのメッセージ」は本当に重要です。
今回はその辺りについて私の想いを書きたいと思います。
エンディングノートとは
「エンディングノート」とは、簡単に説明すると自分の今までの人生を振り返り自分の最後はどうしたいのか。
を記載するノートになります。
エンディングノートは市販もされており記載項目はざまざまです。
下記は主にエンディングノートに記載する項目です。
エンディングノートに記載する内容
- 出生~現在までの振り返り・エピソード
- 自分の最後についての家族へのお願い
- 自分が亡くなった後の家族へのお願い
- 財産の情報
- 家族へのメッセージ
1. 出生~現在までの振り返り・エピソード
まずは自分の今までの人生を振り返ります。
【例】
- 【出生について】:生まれた病院や名前の由来など
- 【幼少期について】:保育園、幼稚園の名前・思い出のエピソードなど
- 【小学校、中学校、高校、大学・専門学校】:学校名・思い出のエピソードなど
- 【社会人時代】:勤務した会社・思い出のエピソードなど
- 【結婚生活】:思い出のエピソード・奥さんとの出会い・子供が生まれたこと等
- 【子育てについて】:思い出のエピソード・子供達が生まれた時の事など
これらについて記載します。
自分の人生の振り返りができますので、最近忘れていた「家族の大切さ」「家族への感謝」「子供が生まれた時の喜び」などを思い出す事ができます。
これって私は本当に大切な事だと考えています。
✅配偶者(夫、妻)に「ありがとう」と言えなくなっていませんか?
✅食事を作ってもらって当たり前と思っていませんか?
✅家事をしてもらって当たり前と思っていませんか?
✅配偶者・子供がいるのが当たり前と思っていませんか?
家族だと慣れてしまって「感謝」が薄れてしまいます。
誰かが亡くなると「もっとこうしてあげればよかった」と後悔する人が多いです。
この「後悔」を少しでも少なくしませんか?
エンディングノートで人生を振り返ると、これらを思い出すきっかけになります。
これだけでもエンディングノートは作成する価値が十分にありますよね。
2. 自分の最後についての家族へのお願い
ここで書くのは自分が最後を迎えるにあたりお願いしたい事を書きます。
【例】
- 介護について:誰にお願いしたいか、費用はどこから出すか。
- 認知症になってしまったら:後見人はどうしたいか、費用はどうするか。
- 延命治療について:延命治療をして欲しいかどうか。
- 遺言書について:作成しているかどうか、どこに保管してあるか。
- アカウント情報:ID・パスワードなど
これらの事をきめておく事で家族の負担が減ります。
特に延命治療なんかは家族の中で意見が異なる事も多いので自身の考えを伝える事は重要です。
アカウント情報も重要です。
近年は銀行なんかもスマホで管理していたり、サブスクの解約等で使用しますので記載しておくと良いと思います。
スマホ、パソコン自体のロック解除のパスワードも記載してあげると家族が楽になります。
3. 自分が亡くなった後の家族へのお願い
【例】
- 葬儀について:葬儀の方法・弔辞を読んでもらいたい人。遺影の事など
- お墓について:お墓の場所・散骨して欲しいなど
- 仏壇について:どこにあるか
記載する内容に決まりはありませんので何を書いてもOKです。
4. 財産について
自分の所有している財産を記載します。
【プラスの財産】:不動産、預貯金、有価証券、生命保険など
【マイナスの財産】:借金について、保証人になっていればその情報
相続が発生した時に「マイナスの財産」をしっかり記載しておくことが大切です。
記載しないと借金はないものとして相続人が相続します。
相続は「プラスの財産」も「マイナスの財産」も承継する事ですので「マイナスの財産」が多い時などは「相続放棄」などもありますので所有している財産は漏れなく記載してあげてください。
5. 家族へのメッセージ
これ、凄く大切です。
最初に人生を振り返りましたよね。
様々な想いが出てきていると思います。
その想いを感じながら「家族へのメッセージ」を書いてください。
- 「夫、妻」への感謝の気持ち
- 「子供達」への感謝の想い
- 「家族以外」への感謝の想い
書き始めるとキリがないですが文字に制限はありません。
しっかりと想いを伝えましょう。
エンディングノートから遺言書へ(付言事項)
エンディングノートで色々な想いが確認できたと思います。
財産の記載もして自分の財産の「見える化」もできました。
今度は「遺言書」で「だれに」「なにを」「どれだけ」相続させるか決めましょう。
「遺言書」を作成する上でもエンディングノートで人生を振り返っているのといないのとでは遺言書の内容も変わってくるかもしれません。
自分の想いや家族の生活環境などを考えて作成してください。
「遺言書」には「付言事項」というものがあります。
「付言事項」は遺言書にメッセージを記載する事です。
詳しくは下記をクリック
【例】
- 家族への感謝の気持ち
- 何故このような財産の分け方をしたのか
- その他
「付言事項」も「エンディングノート」と同様に凄く大切だと考えています。
特に1人の相続人に多くの財産を残す内容の遺言書の場合に「付言事項」を記載するとしないとでは家族の気持ちが違います。
例えば
長男も長女も立派に自立してくれて何も心配する事はありません。
ただお母さんは体も弱ってきており、自分が居なくなった後が心配なのでお父さんの財産は全てお母さんに渡す事にしました。
長男も長女も理解してくれると信じています。
私の死後この遺言内容が速やかに執行される事を願います。
これからもお母さんを助けて家族仲良く暮らしてください。
このように「付言事項」を記載するのと、何も書かないのとでは長男・長女の想いも変わってきますよね。
何も書かないと「俺だって法定相続分があるんだから少しは欲しかった」などの想いがでるかもしれません。
最後に
今回は自分が非常に大切に思っている「エンディングノート」「付言事項」について書かせてもらいました。
人間の繋がりって気持ちの部分が強いと思っています。
自分の気持ちをきちんと相手に伝える事って難しいですよね。
「エンディングノート」「付言事項」だから書ける素直な気持ちもあると思います。
是非、参考にして作成してみてください。
投稿者プロフィール
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名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
名古屋市緑区、日進市、みよし市、東郷町の方も、お気軽にお問合せください。
趣味:キャンプ・バス釣り・自転車・読書
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