自筆証書遺言書保管制度|行政書士が分かりやすく説明

今回は「自筆証書遺言」を法務局が保管してくれる制度「自筆証書遺言書保管制度」についてご説明します。

自筆証書遺言書保管制度とは

従来は「自筆証書遺言」は自身で保管しなければなりませんでした。

自身での保管には様々なリスクがあります。

自身で保管のリスク

  • 遺言書の紛失・改ざんの恐れがある。
  • 遺言書が見つからない

【遺言書の紛失・改ざんの恐れ】

自宅での保管になりますので「遺言書」を紛失してしまう恐れや相続人が「遺言書」を改ざんしてしまう恐れがあります。

【遺言書が見つからない】

「分かりにくい場所に保管しなくては」と考えて保管すると遺言者が亡くなった時に「遺言書」を見つける事が出来ないケースが良くあります。

せっかく作成したのに意味がないですよね。

また遺言書の存在に気付かないまま相続人間で「遺産分割」が終了した後に「遺言書」が見つかるケースもあります。

この場合は相続人間でトラブルの元になります。

これらのリスクを無くすことが出来るのが「自筆証書遺言書保管制度」です。

法務局が「自筆証書遺言書」の原紙を保管してくれる制度です。

「自筆証書遺言書保管制度」の効果

「自筆証書遺言書保管制度の効果

  1.  遺言書の紛失・改ざんの恐れがなくなる
  2.  遺言書が見つからない可能性が低くなる。
  3.  形式的不備で無効になる事がない。
  4.  家庭裁判所での「検認」が不要になる。

1. 遺言書の紛失・改ざんの恐れがなくなる

法務局が遺言書を保管してくれますので当然、紛失する事はありませんし相続人による改ざんもできません。

遺言書に疑義が生じる可能性がなくなります。

2. 遺言書が見つからない可能性が低くなる

法務局に「遺言書」を保管していると一定の相続人に「通知」をしてくれます。

「通知」をしてくれるケース

  1.  関係遺言書保管通知
    相続人等の1人が、遺言保管所(法務局)において遺言書の閲覧をしたり遺言書情報証明書の交付をうけた場合に、その他の相続人等全員に対して、遺言書が遺言保管所(法務局)に保管されている旨の通知が届く。
  2.  死亡時通知
    遺言者があらかじめこの通知を希望した場合に、その通知対象者とされた相続人等(3名まで指名可)に対して、※遺言者の死亡の事実が確認できた時に、遺言書が保管されている旨の通知が届きます。

※ この「遺言者の死亡の事実が確認できた時」ですが役所に「死亡届」が提出された時とは異なり、あくまで「法務局」が死亡の事実を知った時ですので「通知」まで遅いと1か月程度かかる場合もある様です。

このように2パターンの通知制度がありますので「遺言書が発見されない」リスクが減ります。

遺言書の形式的不備で無効にならない

「自筆証書遺言書」は手軽に作成できますが法律でルールが定められています。

そのルールに従っていないと遺言書は「無効」になります。

「自筆証書遺言書保管制度」を利用した場合は保管される時に「保管官」が形式的不備が無いか確認してくれます。

「形式的不備」がない遺言書でないと保管できないからです。

※「形式的不備」ですので「遺言書の内容」は関係ありません。

家庭裁判所での「検認」が不要になる

通常の「自筆証書遺言」は発見したら封を開けずに家庭裁判所の「検認」を受けなくてはなりません。

この「検認」が「自筆証書遺言書保管制度」を利用した場合は不要になります。

「検認」について詳しくは下記をクリックしてください。

「自筆証書遺言書保管制度」の利用方法

1. 自筆証書遺言書を作成する
法的ルールに従って作成してください。
2. 保管の申請をする遺言書書保管所(法務局)を決める
「遺言者の住所地」・「遺言者の本籍地」・「遺言者が所有する不動産の所在地」のいずれかを管轄する遺言書保管所に申請します。
3. 申請書を作成する
申請書は「法務省HP」からダウンロードするか「法務局の窓口」で入手できます。
保管の申請の予約をする
遺言書保管所(法務局)に申請の予約を入れます。
保管の申請をする
申請できるのは「遺言者本人」のみです。
必要書類は以下になります。

【遺言書】
ホチキスで止めずにバラバラのままで持参してください。

【保管申請書】
あらかじめ記入してから持参してください。

【添付書類】
「本籍と戸籍の筆頭者の記載のある住民票の写し」(マイナンバー・住民票コードの記載のない3か月以内のもの)

【顔写真付きの身分証明書】
マイナンバーカード・運転免許証など

【手数料】
保管料は¥3900です。
保管証の受取
遺言者の氏名・生年月日、遺言保管所の名称及び保管番号が記載されています。

各種手続きは「保管番号」が必要です。

大切に保管してください。

このような流れになります。

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介した「自筆証書遺言書保管制度」を利用する事で従来の「自筆証書遺言」のデメリットを軽減する事ができます。

「自筆証書遺言」を作成されたら、この保管制度を利用する事をおすすめします。

申請は「遺言者本人」ですが、当事務所では「申請のサポート」も行っています。

よろしければご相談ください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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