自分で作成した遺言書はここをチェック!|行政書士が分かりやすく説明
「自筆証書遺言」は自分で作成する事ができるのでハードルが低いです。
ただし書き方によっては「無効」になる場合があります。
ここでは自分で作成した(専門家のサポートなしで)自筆証書遺言書のチェックして欲しい項目をご紹介します。
自筆証書遺言のチェック項目
チェックリスト
- 全文が自書されているか
- 日付が記載されているか(具体的な日付が特定できるか)
- 署名・捺印がしてあるか
- 財産の内容が登記簿の通りに記載されているか(財産目録を使用しない場合)
- 財産目録の各頁に署名・捺印してあるか
- 間違えた箇所の修正方法は正しいか
- 共同で遺言書を作成していないか
- 遺言者が15歳未満ではないか
- 公序良俗に反した内容ではないか
- 文字が読みにくくないか・かすれて読めないなどないか
- 遺言書の内容が曖昧・不明確ではないか
- 遺言能力はあったか(認知症ではなかったか)
それぞれ見ていきます。
全文が自書されているか
自筆証書遺言は全文が自書されている必要があります。
パソコン・代筆での作成は認められていません。(財産目録についてはパソコン・代筆可)
必ず自分で書く事が必要です。
具体的な日付が記載されているか
日付も必ず記載しなければなりません。
記載する時は具体的に日付が特定できなければなりません。
令和6年8月21日 ⇒ OK
令和6年8月吉日 ⇒ NG
こんな感じで日付が特定できなければいけません。
遺言書は複数あった場合は日付の新しい遺言書が有効になるからです。
令和6年8月21日に1回目の遺言書を作成したが内容を変えたかったので
令和6年8月25日に変更した内容の遺言書を作成した場合に2通遺言書が存在します。
この場合は日付の新しい8/25の遺言書が有効になります。
これらのことから「令和6年8月吉日」の記載は不可になります。
署名・捺印してあるか
遺言書には必ず「署名・捺印」が必要になります。
法務省HPより引用
1番下の部分に必ず署名・捺印が必要になります。
「認印」でも可ですが信憑性を高める為に「実印」を使用する事をおすすめします。
「実印」を使用した時は「印鑑登録証明書」を添付すると尚良いです。
財産の内容が登記簿の通りに記載されているか
これは「自筆証書遺言の方式の緩和」を使用せずに作成する場合に必要な事になります。
「自筆証書遺言の方式の緩和」についてくわしくは下記をクリック
上記の「遺言書」の例で不動産については「土地」「建物」は別で記載します。
また「住所」とは違いますので注意です。
「土地」:地番で記載します。
「建物」:家屋番号で記載します。
登記簿謄本に記載されている通りに記載してください。
また銀行の預金についても通帳を確認して間違いのない様に記載してください。
記載を間違えると相続させる財産が特定できませんので、その部分については「無効」になってしまいます。
財産目録の各頁に署名・捺印してあるか
これは「自筆証書遺言の方式の緩和」を利用した場合です。
この場合は「遺言書」に財産を記載せずに「財産目録」を添付すればOKです。
(法務省HPより引用)
この様に登記簿や通帳のコピーを添付する事で「遺言書」に財産の内容を自書で記載する必要がなくなります。
その場合に財産目録の各頁に上記の例の様に「署名・捺印」が必要になります。
財産目録が「裏表」にある場合は「裏表」両面に署名・捺印が必要になります。
間違えた箇所の訂正方法は正しいか
間違えて記載した場合の訂正方法も定められています。
(法務省HPより引用)
上記の様に訂正をして印鑑を押します。
使用する印鑑は遺言書で署名の横に押す印鑑を使用してください。
この訂正の場合は「遺言書」の最後の部分に「上記三中、二文字削除二文字追加」と記載して氏名を記載します。
「遺言書の中の3番の項目の中の2文字を削除して2文字を追加した」という意味になります。
この方式に従えば訂正はできますが、訂正方法がNGで無効になる場合もありますので
なるべく間違えた時は面倒でも「書き直す」事をおすすめします。
共同で遺言を作成していないか
これはよくあるケースとしては「ご夫婦」で1通の遺言書を作成したいとご相談いただく事がありますが。
遺言書は「共同遺言は禁止」されています。
ご夫婦で作成したい時も1人1通作成しなければなりません。
遺言者が15歳未満ではないか
法律で15歳未満は遺言書を作成できない事になっています。
公序良俗に反した内容ではないか
代表例は「愛人に全ての財産を遺贈する」内容の遺言書は公序良俗に反する為「無効」になります。
ただし「愛人への遺贈」は場合によっては大丈夫なケースもあります。
くわしくは専門家へ相談してください。
文字が読みにくくないか・かすれて読めないなどないか
「文字が読めない」「かすれて読めない」「薄くて読めない」などの場合は遺言書の内容が分かりませんので無効になる可能性があります。
ボールペンではっきりと誰でも読める字で記載してください。
また年配の方で「手が震えて上手く字が書けない」「力が弱くて字がかすれてしまう」などありましたら「公正証書遺言」を作成する事をお勧めします。
遺言書の内容が曖昧・不明確ではないか
遺言書に記載した内容が「曖昧」「不明確」だと無効になる可能性があります。
「不動産は長男に任せる」と記載すると本人は「相続させる」つもりで書いたかもしれませんが、読む人によっては「不動産の管理を任せる」と捉える人もいるかもしれません。
「不動産は長男に相続させる」と記載すれば誰が読んでも分かりますよね。
このように誰が読んでも同じ意味にとらえれる様に記載する事がポイントです。
「家族だから、これでわかるだろう」はダメです。
遺言能力はあったか(認知症ではなかったか)
遺言書を作成するには「遺言能力」が必要になります。
簡単にいうと「認知症」になっていなかったかが問題になります。
「遺言能力」がないと判断されると無効になります。
ただし「認知症」の程度によって変わってきます。
最終的な判断は裁判所が行います。
「認知症」だから絶対に無効という訳ではありません。
ただし相続人間でこのような話にならない様に心身共に健康な時に作成する事が重要になってきます。
最後に
いかがでしたか?
チェックする事は意外と多いです。
ご自身での作成に不安のある方は専門家のサポートを検討してください。
また、ご自身で作成された遺言書のチェックをしてくれる専門家もいますので相談してみてください。
最初から全てサポートしてもらうより金額的に安くなると思いますよ。
是非、参考にしてください。
投稿者プロフィール
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名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
名古屋市緑区、日進市、みよし市、東郷町の方も、お気軽にお問合せください。
趣味:キャンプ・バス釣り・自転車・読書
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