遺産分割協議のやり直しはできる?|行政書士が分かりやすく説明
1度決定した「遺産分割協議」をなんらかの理由でからやり直す事はできるのでしょうか?
今回は「遺産分割協議」のやり直しについてご説明します。
遺産分割協議とは
被相続人の死亡後に相続財産を相続人間で分け方について協議して決定する事です。
通常は協議して決まった内容を「遺産分割協議書」にします。
- 不動産の相続登記
- 銀行や有価証券の相続手続
- 自動車の名義変更
など相続手続をする際に必要になってきます。
遺産分割協議が不要なケース
- 相続人が1人しかいない。
- 遺言書の通りに分ける場合
- 法定相続で分ける場合。
遺産分割協議のやり直しはできる?
では1度確定した遺産分割協議に内容をやり直す事はできるのでしょうか?
結論としては「やり直す事は可能です」
以下ではどんな時にやり直しできるのかご説明していきます。
相続人全員が合意をしている時
相続人全員が合意をしていれば「遺産分割協議」をやり直す事は可能です。
誰か1人でも反対する相続人がいる場合はできません。
相続人が漏れていた
遺産分割協議は相続人全員で行わなければ効果がありません。
相続人調査の段階で相続人に漏れがあり相続人全員ではなかった場合はやり直さなければなりません。
相続人調査で漏れが出るケースとしては
- 被相続人に「認知」した子供がいた
- 被相続人が再婚で以前の婚姻の時に子供がいた。
- 代襲相続人を見落とした。
などがあります。
代襲相続について詳しくは下記をクリックしてください。
相続手続では法務局・銀行などに被相続人の「出生~死亡」までの戸籍謄本を提出します。
間違っていると手続きできませんので注意してください。
※法定相続情報一覧図がある場合は戸籍謄本の提出は必要ない場合が多いです。
後から財産が見つかった
遺産分割後に新たに財産が見つかった時は「その財産に対して」遺産分割協議が必要になります。
全ての財産についてやり直す必要はありません。
あくまで「新たに見つかった財産」について協議をすればOKです。
最初の遺産分割協議書に新たな財産について記載する。
新たに見つかる財産は少額な事が多いです。
メインの相続財産は相続人間でも把握している場合が多く、遺産分割協議の対象になっている事がほとんどです。
遺産分割協議書に「新たに財産が見つかった時は誰が取得するか」を記載しておくと新たなに見つかった財産に対して「遺産分割協議」をしなくてよくなります。
例えば「新たに見つかった財産が○○銀行の預貯金2万円」だったとします。
この2万円に対して遺産分割協議をして手続きをする事になります。
このような場合は面倒ですよね。
そこで上記でご説明した様に「新たな財産を取得する人」を最初から決めておくと協議の必要がなくなります。
もちろん「新たに見つかった財産」の価値が高い場合もあります。
そんな時に備えて「新たな財産が○○円までなら○○が取得して○○円以上であれば遺産分割協議をする」と記載する事もできます。
遺産分割協議をやり直す時の注意点
ここでは「遺産分割協議」をやり直した時に注意して欲しい事を説明します。
第三者の利益は保護される
例えば相続財産の不動産を相続人A⇒Bへ売却していた時などです。
再度の遺産分割協議を行って不動産を相続人Aではなく相続人Cに取得させたいとしても不動産はすでに第三者Bへ売却されていますので第三者Bに不動産を返してもらう事はできません。
これが「第三者の利益は保護される」という意味です。
税金がかかってくる
再度の遺産分割協議で分け直しをすると1度取得した財産を他の相続人に「贈与」すると扱われます。
従って「贈与税」の対象になります。
もともと「相続税」を払っていた時は「贈与税」もかかって「二重課税」になる可能性があります。
不動産の場合は名義変更の「登録免許税」や「不動産取得税」もかかる場合があります。
これらの点は注意してください。
最後に
遺産分割協議のやり直しは「相続人全員の合意」があれば可能です。
ただしご説明した様に税金や登記の面で費用が発生してきます。
「遺産分割協議のやり直し」を検討している方は慎重に行ってください。
投稿者プロフィール
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名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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