家督相続とは|行政書士が分かりやすく説明
今回は「家督相続」について説明したいと思います。
現在の相続は「法定相続」ですが以前は「家督相続」というものでした。
この「家督相続」について説明していきます。
是非参考にしてください。
家督相続とは
旧民法では「法定相続」ではなく「家督相続」でした。
イメージとしては「家を相続する」感じです。
家の主人である「戸主」が死亡、または隠居によって長男が財産を全て相続するものでした。
戸籍についても現在の戸籍は2世代(子供まで)しか記載されませんが家督相続の時の戸籍は「家単位」で記載されていました。
2世代に限らず「孫」なども同じ戸籍に記載されていました。
法定相続と家督相続の違い
現在は「法定相続」が基本になっています。
長男が全てを相続する「家督相続」とは異なり法律で定められた相続人が財産を分ける事になります。
また家督相続は「戸主」が死亡の場合だけでなく「隠居」を原因として相続する事ができましたが「法定相続」では隠居による相続はできません。
「法定相続」について詳しくは下記の記事をご覧ください。
家督相続は昔の話?
現在は「法定相続」により相続が行われます。
「家督相続」は昔の話なのでしょうか?
現在でも高齢の方の中には「家督相続」の考えが残っています。
「この家は長男に守ってもらいたい」と考えて遺言書で「長男に全ての財産を相続させる」と記載して作成する人がいます。
これは「家督相続」の名残です。
高齢の方々は「家督相続」の時代で育ってきた為しかたないですよね。
ただし現在の民法では「遺留分」がありますので被相続人の「家督相続」の考えが原因でトラブルになってしまうケースも少なくありません。
※「遺留分」とは各相続人が有している遺産の「最低取分」です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
この様に「家督相続」と「法定相続」の考え方の違いからトラブルになる事もあります。
現在は「法定相続」ではありますが「家督相続」は今でも影響を与えています。
家督相続が影響している遺言書
先に少し話ましたが「家督相続」の考えがのこっている為、遺言書を作成する時に「長男へ全ての財産を相続させる」内容で作成する遺言者の方がいます。
「遺留分を絶対に請求されない様にして欲しい」と依頼される方がいますが現在の法律では「遺留分を絶対請求されない遺言書」は作成できません。
ただし「遺言書の付言事項」「エンディングノート」を作成する事で「何故この内容にしたのか」などを相続人に対して気持ちを伝える事ができます。
法的効力は有りませんので相続人が「遺留分を請求する!」となれば止める事はできません。
ただし「付言事項」「エンディングノート」で気持ちを伝える事で相続人の気持ちに変化は出るかもしれません。
最後に
いかがでしたか。
今回は旧民法での「家督相続」について説明しました。
「法定相続」に変わって、かなりの期間が経ちましたが高齢の方々の中では「家督相続」の考え方が残っています。
この「法定相続」と「家督相続」の考え方の違いから相続の時に意見が合わずにトラブルになる事はよくあります。
昔の制度ではありますが現在でも影響しています。
とくに「遺言書」の作成の時は注意が必要です。
高齢の方が遺言書を作成する時は「家督相続」の考えから「全て長男に相続させる」内容で作成したいと考える方もいます。
しかし現在の「法定相続」では、その考え方はなじみません。
「遺留分を絶対請求されない遺言書が作成したい」とおっしゃる方もいますが現在の法律では難しいです。
是非、参考にしてください。
投稿者プロフィール
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名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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