遺産分割・現物分割とは|行政書士が分かりやすく説明

「遺産分割」をする時の分割方法として

  • 現物分割
  • 換価分割
  • 代償分割

があります。

「代償分割」「換価分割」については下記をクリック

ここでは「現物分割」についてご説明します。

現物分割とは

「現物分割」とは文字通り被相続人の財産を「現物(そのままの状態)」で分割する方法です。

【事例】
被相続人(父)
財産:土地3000万円・預貯金1000万円
相続人:長男・次男の2人

この場合に現物分割すると

長男:土地(3000万円)
次男:預貯金(1000万円)

このように分割されます。

ただ次男からすると少し不満ですよね。

こんな現物分割の方法もあります。

土地を分筆(土地を半分に分けてしまう)して土地A1500万円・土地B1500万円にする。

こうする事で

長男:土地(1500万円)預貯金(500万円)
次男:土地(1500万円)預貯金(500万円)

このように公平に分ける事ができます。

分筆する時の注意点

分筆して現物分割する時に注意して欲しい事があります。

  1.  分筆後の土地に十分な広さがあるか
  2.  分筆する事によって価値が下がらないか
  3.  物理的に分筆できるか
  4.  接している道路との関係

1. 分筆後の土地に十分な広さがあるか

分筆した時に土地を活用する上で十分な広さがあるかは重要になります。

分筆前の土地が元々そんなに広くない場合は分筆してしまうと何も活用できない広さになってしまいます。

分筆後の土地に建物を建てて活用しようと考えている場合は、その土地の「建ぺい率」も考慮して土地の広さを考える必要があります。

2. 分筆する事で価値が下がらないか

土地の形状や接している道路の有無など様々な理由で分筆すると評価が下がってしまう事があります。

【例】
分筆すると道路に面した土地と、そうでない土地に分かれてしまう。

この様な場合は道路に面していない土地の評価は下がります。

1つの土地だった時は評価3000万円だったけど「土地A」「土地B」に分けたら

「土地A」の評価1500万円
「土地B」の評価500万円

合計2000万円(一筆のままなら3000万円)

こんな事になる事もあります。

3. 物理的に分筆できるか

分筆は土地の場合にできる手段です。

土地の上に建物が建っている場合などは建物は分筆できません。

現物分割のメリット

相続人の単独の名義になりますので対象の土地、建物をどうするかは自分だけで決める事ができます。

所有権を「共有」してしまうと対象不動産の処分行為(売却・大規模なリフォーム・賃貸物件にする等)は共有者全員の合意が必要になります。

土地を分筆しての現物分割であれば「公平感」もあります。

ただし分筆すると色々とデメリットが多いのも事実です。
分筆する事なく遺産分割した時は、どうしても相続財産に偏りが出てきます。

現物分割のデメリット

「メリット」の部分でも触れましたが「分筆」には色々なデメリットがあります。

  • 土地の評価が下がる場合がある。
  • 分筆後の土地が狭くて使えない
  • 道路に面していない土地になってしまう。

これらの理由から「分筆」をしないで分割を行うと不動産を取得した相続人と、そうでない相続人との間で額に隔たりが出てしまいトラブルになる可能性もあります。

「デメリット」を解消するために「換価分割」「代償分割」があります。

また別の記事でご説明します。

最後に

いかがでしたか?

「現物分割」は1番多い分割方法だと思います。

もちろんメリット・デメリットがあります。

「現物分割」以外にも「換価分割」「代償分割」があります。

別の記事でご説明します。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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