遺産分割に期限はある?|行政書士が分かりやすく説明

被相続人が死亡すると「遺言書」のない場合は基本的に「遺産分割協議」を行い財産を分割します。

この遺産分割には期限はあるのでしょうか?

ご説明していきます。

遺産分割の期限は?

結論から言ってしまいますが「遺産分割」自体に期限はありません。

10年後に行っても20年後に行っても法的に問題はありません。

ただし「遺産分割」以外の部分の手続きには期限が設けられており、それらの手続きをスムーズに行う為には「遺産分割」は早めに行う事が望ましいです。

遺産分割以外の手続きの期限

限定承認・相続放棄

被相続人の負債が多額の場合や負債の額が明確に分からない時など「限定承認」「相続放棄」の手続きが必要になってきます。

これらの期限(熟慮期間)は「相続の開始があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。

この期間を過ぎてしまうと「単純承認」したことになります。

「単純承認」は被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も全て相続する事になります。

遺産分割協議をする時は被相続人の財産調査をしますので調査結果から「限定承認」「相続放棄」をする時の参考になります。

被相続人の準確定申告

被相続人が死亡した年に収入があった場合は被相続人の確定申告(準確定申告)をしなければなりません。

期限は「死亡から4か月以内」になります。

年金の受給は除外されています。

相続税の申告

相続税の申告は「被相続人の死亡から10か月以内」です。

遺産分割協議が終了していない時は「減税の特例」である配偶者控除・小規模宅地の特例が受けられなくなる可能性があります。

相続税の必要にもかかわらず申告していない場合は延滞料が発生したりしますので「遺産分割」が終了していなくても「申告期限後3年以内の分割見込書」などを利用して申告自体は行ってください。

この「申告後3年以内の分割見込書」を提出した場合は3年以内の分割成立を条件に「減税の特例」の一部を使用する事ができます。

ただし「遺産分割協議」が終了していれば何も問題はありませんので早めに遺産分割協議を行うことをおすすめします。

不動産の相続登記

2024年4月から「相続登記義務化」になりました。

相続開始から3年以内です。

期限内に不動産の登記をしないと10万円以下の過料が課せられる可能性があります。

詳しくは下記をクリックしてください。

生命保険金の請求

被相続人が加入していた生命保険金の請求は「被相続人の死亡後3年以内」です。

死亡により自動的には支給されません。

相続人からの請求が必要になりますので注意してください。

特別受益・寄与分が請求できなくなる。

相続開始から10年を経過すると「特別受益・寄与分」の請求ができなくなります。

特別受益特定の相続人が被相続人の生前に財産を受け取っていた場合にその財資産を相続分から控除する事
寄与分被相続人に対して介護・事業の手伝いをして被相続人の財産の維持に貢献した相続人が他の相続人よりも多く財産を受け取れる事。

これらは「遺産分割協議」で決めていきますのが10年を経過すると主張ができなくなります。

相続手続以外の部分

これまでにご説明した通り「遺産分割」に期限はありませんが手続上は早めに行う事が望ましいです。

手続き以外の部分でも注意して欲しいことがあります。

「遺産分割協議」を何年も放置しているとその間に相続人が亡くなってしまう事があります。

「数次相続」といいます。

最初に発生した相続を「1次相続」手続きをしない間に相続人が亡くなって発生する相続を「2次相続」といいます。

2つの相続を同時に処理する事になりますので通常よりも相続手続が煩雑になります。

これらを防ぐためにも「遺産分割」は早めに行う事をお勧めします。

最後に

いかがでしたか?

何度もいいますが「遺産分割」自体に期限はありません。

しかし面倒だからと放置していてもデメリットばかりです。

いずれやらなければなりませんので、できるだけ早く処理する事をおすすめします。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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