離婚公正証書・公証人への手数料(計算方法)|行政書士が分かりやすく説明
今回は「離婚公正証書」を作成する時に発生する「公証人への手数料」についてご説明します。
離婚公正証書とは
離婚協議書には「離婚協議書」と「離婚公正証書」があります。
どちらも離婚の時に決めた内容を記載して書面にしたものです。
何が違うのか簡単にご説明します。
【離婚協議書】
離婚協議書には決まった書式はなく当事者で作成する事も可能です。
作成には法的知識が必要な事もありますので「専門家」へ依頼することをおすすめします。
「私文書」として扱われ法的効力はありますが「強制力」はありません。
【離婚公正証書】
当事者で協議などして決めた内容を「公証人」に作成してもらう離婚協議書です。
「離婚公正証書」は法的効力はもちろんのこと「強制力」も伴います。
公証人が作成しますので「公文書」にあたり裁判の確定判決と同じ効力があります。
離婚後のトラブルを考えると「離婚公正証書」を作成したほうが安心です。
※「強制力」とは
養育費などの支払いが滞った時に離婚公正証書は「強制力」がありますので支払い義務者の給与・財産などを「差押え」する事ができます。
離婚協議書の場合は「私文書」ですので「強制力」はありません。
「差押え」をするには家庭裁判所に申し立てをする必要がでてきます。
離婚協議書 | 離婚公正証書 |
・法的効果はあるが「私文書」 ・履行がされない時は「裁判」を起こせる。 ・自分達で作成できる。 | ・法的効果・信憑性が高い「公文書」 ・裁判なしで強制執行ができる。 ・自分達では作成できず公証人に作成してもらう。 |
公証人の手数料
「離婚公正証書」は公証人に作成してもらう「公文書」とお話しました。
作成してもらうには「公証人への手数料」が必要になります。
計算方法などを以下でご紹介します。
手数料の計算方法
公証人への手数料は財産の価額によって変わってきます。
公正証書に記載する財産の価額が多ければ手数料も多くなります。
「財産分与」「慰謝料」「養育費」が対象になります。
「財産分与」「慰謝料」は合算して考え「養育費」は別で考えます。
※「養育費」については10年を限度に計算します。
それぞれ計算して算出された額を「目的の価額」といい下記の表に照らして手数料が算出されます。
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
具体的事例①
【事例①】
財産分与額:500万円
慰謝料:300万円
養育費:月3万円を15年間(子供は1人)
このケースで計算してみます。
【財産分与+慰謝料】
500万(財産分与)+300万円(慰謝料)=800万円(目的の価額)
公証人の手数料¥17,000
【養育費】
月3万×12か月×10年=360万(目的の価額)
公証人の手数料¥11,000
※支払期間は15年間ですが10年間を限度として考えます。
【手数料の合計】
17000+11000=¥28,000
¥28,000がこのケースでの手数料になります。
※その他に証書の枚数により数千円加算されます。
具体的事例②
【事例②】
財産分与:500万円
慰謝料:300万円
養育費:1人月3万(子供は9歳・12歳の2人で20歳までの支払い)
【財産分与+慰謝料】
500万(財産分与)+300万(慰謝料)=800万(目的の価額)
公証人の手数料¥17,000
【養育費】
3万×12か月×10年=360万円(9歳の子供)
3万×12か月×8年=288万(12歳の子供)
360万円+288万円=648万円(目的の価額)
公証人の手数料¥17,000
※9歳の子は11年間支払ますが10年を限度に計算します。
【手数料の合計】
¥17,000+¥17,000=¥34,000
¥34,000が手数料になります。
※その他に証書の枚数により数千円加算されます。
最後に
いかがでしたか?
今回は「離婚公正証書」の手数料の計算方法について解説しました。
正式な金額は公証人から提示されます。
この手数料に加えて「専門家」へ依頼する時は「専門家」に対しての報酬が加算されます。
お金はかかりますが「離婚公正証書」は公文書で確実なものです。
離婚をすると「他人」になります。
連絡がとれないような事もあります。
後々のトラブルのことを考えると「離婚公正証書」をおすすめします。
是非、参考にしてください。
投稿者プロフィール
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名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
名古屋市緑区、日進市、みよし市、東郷町の方も、お気軽にお問合せください。
趣味:キャンプ・バス釣り・自転車・読書
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