本来の相続財産・みなし相続財産とは|行政書士が分かりやすく説明

相続する財産を考える中で民法上の相続財産と税法上の相続財産があります。

民法上の相続財産は「遺産分割」の対象になる財産です。

税法上は【本来の相続財産】とは別に【みなし相続財産】があります。

相続税の計算では

【本来の相続財産】+【みなし相続財産】-【非課税財産】+【相続時精算課税制度の価額】-【債務及び葬式費用】+【生前贈与財産】

上記の式から課税価額が決定します。

ここでは【本来の相続財産】と【みなし相続財産】についてご説明します。

本来の相続財産

本来の相続財産とは【被相続人が相続開始時に所有していた財産のことです。】

具体例

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 不動産
  • 宝石・絵画     など

他にもありますが代表的なものは上記のものになります。

これらの【本来の相続財産】を遺産分割協議をして「遺産分割協議書」を作成します。

これが民法上の相続財産です。

みなし相続財産

みなし相続財産とは【被相続人が相続開始時には所有していなかったが被相続人の死亡を原因として支払われるもの】です。

代表的な具体例

  • 生命保険金
  • 死亡退職金
  • 弔意金         など

これらが代表的なものになります。

生命保険金

生命保険金には受取人が決められています。

生命保険金の受取人が相続人の中の「Aさん」になっていれば「Aさん」の固有の権利となり相続人の中で分ける相続財産ではありません。

「遺産分割協議書」の対象ではありませんが相続税の対象にはなります。

保険契約者
(保険料負担者)
被保険者
(保険の対象者)
受取人課税対象者課税種類
相続税
子供子供贈与税
問わない所得税

図の様に相続税の対象となるのは「保険契約者」と「被保険者」が同じ時だけです。

また生命保険金には非課税限度額があります。

500万円×法定相続人の数=非課税限度額になります。

相続人が2人なら  500万円×2人=1000万円  になります。

この非課税限度額の適応は「相続人」のみになります。

受取人が「孫」などの相続人以外の場合は適応はありません。

死亡退職金

考え方は「生命保険金」と同じです。

非課税限度額の対象金額も同じです。

注意が必要なのは「受取人」が決まっている時は「みなし相続財産」になりますが「受取人」が決まっていない場合は相続財産として遺産分割協議が必要になります。

ただし相続税の課税対象になる場合とならない場合がありますので以下で表にまとめました。

相続税の課税対象退職手当金・功労金などが被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの
相続税の課税対象ではない退職手当金・功労金などが被相続人の死亡後3年経過後に確定したもの
(ただし受取人の一時所得として所得税、住民税等の課税対象になる。)

このように相続税の対象は死亡後3年以内に確定したものになります。

弔意金

弔慰金は次の金額までは相続税はかかりません。

・業務上の死亡の場合:賞与を除く普通給与の3年分
・業務外の死亡の場合:賞与を除く普通給与の半年分

上記の金額を超えた場合は、超えた金額が死亡退職金に含まれる。

最後に

ご説明したとおり【本来の相続財産】は民法上の遺産分割の対象になりますが【みなし相続財産】は遺産分割の対象ではありません。

【みなし相続財産】は相続税を計算するうえで対象になる相続財産になります。

参考にしてみてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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