LGBTQ+|委任契約と任意後見契約セット|行政書士が分かりやすく説明

前回の記事で「任意後見契約」について解説しました。

今回は財産管理の為の「委任契約書」について解説していきます。

「任意後見契約書」とセットで作成するメリットをご紹介していきます。

是非、参考にしてください。

財産管理のための委任契約とは

前回、解説した「任意後見契約」は本人が判断能力が低下した時に有効な契約でした。

認知症になってしまい財産の管理をする事が出来ない時などに「後見人」に指定した同性のパートナーにサポートしてもらう為の契約書です。

「任意後見契約書」について詳しくは下記の記事をご覧ください。

LGBTQ+任意後見契約書とは|行政書士が分かりやすく説明

同性パートーナーにおける「任意後見契約書」が必要な理由・どんな事ができるのか。 「パートナーシップ合意契約書」との関係について解説しています。 参考にしてくださ…

しかし本人が不慮に事故などで身体が不自由になってしまい財産を管理する事が難しくなる場合もあります。

この場合は判断能力は低下していません。

従って「任意後見契約」で後見人となり財産管理等をする事ができないのです。

「任意後見契約」はあくまで「判断能力が低下した時」に有効となる契約です。

そこで有効になってくるのが「財産管理の為の委任契約」になります。

「財産管理の為の委任契約」と「任意後見契約」をセットで作成する事で

判断能力が低下するまで:「財産管理委任契約」

判断能力が低下したら :「任意後見契約」

このように長期的に管理してもらう事が可能になってきます。

委任契約でどんな事ができるのか

「任意後見契約」と同様に「委任契約」で受任者が出来る事は代理権で定めた内容になります。

財産管理・身上監護についての代理権目録を作成します。

主な代理権は以下になります。

  1. 不動産、動産等すべての財産の保存、管理及び処分に関する事項
  2. 金融機関、証券会社とのすべての取引に関する事項
  3. 保険契約(類似の共済契約等を含む。)に関する事項
  4. 定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払に関する事項
  5. 生活費の送金、生活に必要な財産の取得に関する事項及び物品の購入その他の日常生活関連取引(契約の変更、解除を含む。)に関する事項
  6. 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入退所契約に関する事項
  7. 要介護認定の申請及び認定に関する承認又は審査請求並びに福祉関係の措置(施設入所措置を含む。)の申請及び決定に対する審査請求に関する事項
  8. シルバー資金融資制度、長期生活支援資金制度等の福祉関係融資制度の利用に関する事項
  9. 登記済権利証・登記識別情報、印鑑、印鑑登録カード、住民基本台帳カード、個人番号(マイナンバー)カード・個人番号(マイナンバー)通知カード、預貯金通帳、キャッシュカード、有価証券・その預り証、年金関係書類、健康保険証、介護保険証、土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類その他重要書類の保管及び各事項の事務処理に必要な範囲内の使用に関する事項
  10. 居住用不動産の購入及び賃貸借契約並びに住居の新築・増改築に関する請負契約に関する事項
  11. 登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書の請求に関する事項
  12. 遺産分割の協議、遺留分侵害額の請求、相続放棄、限定承認に関する事項
  13. 配偶者、子の法定後見開始の審判の申立てに関する事項
  14. 以上の各事項に関する行政機関等への申請、行政不服申立て、紛争の処理(弁護士に対する民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項の授権を含む訴訟行為の委任、公正証書の作成嘱託を含む。)に関する事項
  15. 復代理人の選任、事務代行者の指定に関する事項
  16. 以上の各事項に関連する一切の事項

(日本公証人連合会HPより引用)

これらの内容に追加する事もできますし必要のないものは除く事もできます。

任意後見契約書(移行型)

今回「委任契約」「任意後見契約」をセットで作成する事について解説していますが作成時に「任意後見契約(移行型)」として作成する事で1つの公正証書で「委任契約」「任意後見契約」を盛り込む事ができます。

これにより別々に作成する必要はありませんので「任意後見契約書」を作成する時は検討してみてください。

作成時は「委任契約及び任意後見契約公正証書」などと表記して作成します。

これにより「判断能力の低下前」から「判断能力が低下後」まで長期的にカバーできます。

最後に

いかがでしたか。

今回は判断能力が低下する前からサポートしてもらえる「財産管理委任契約」について解説しました。

「任意後見契約書」を作成する時にセットでできますので是非、検討してみてください。

「財産委任契約」をしたからといって財産管理を委任しなければならない訳ではありません。

ご自身のタイミングで委任を開始できます。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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