法定相続分の通りに分けないといけないの?|行政書士が分かりやすく説明

今回は相続の時の法律で定められている「法定相続分はその通りに分けないといけないのか」について解説したいと思います。

是非参考にしてください。

法定相続分とは

相続が発生した時は民法で「法定相続人」「法定相続分」が定められています。

「法定相続人」とは被相続人の財産を相続できる人の事です。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

法定相続人とは|行政書士が分かりやすく説明します

法定相続人とは。 法定相続人になるのは誰なのか、どのようにして決まるのか。分かりやすく図で解説しています。

被相続人の遺産を相続できる人は「法定相続人」として決まっておりそれ以外の人は遺産を相続する事はできません。

「法定相続分」も民法で割合で定められています。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

法定相続分とは|行政書士が分かりやすく説明

法定相続分とは何か。 法定相続割合を表・具体例を用いて説明 また法定相続分通りに分けないといけないのか?などを説明

【事例】

被相続人:父親

相続人:妻・長男、長女

上記の事例は1番多いパターンになります。

この場合の「法定相続分」は以下の様に法律で定められています。

妻:1/2
長男:1/4
長女:1/4

このように定められています。

法定相続分の通りに分けないといけないのか

民法で「法定相続分」は定められていると説明しました。

この「法定相続分」は守らないといけないのでしょうか。

先に結論から申し上げると

結論:法定相続分の通りに分けなくてもよい。

「法定」と名前がついていますが、その通りに分ける必要はありません。

なぜ法定相続分を守らなくていいのか

被相続人の遺産には多くの場合に不動産や車があります。

この不動産・車は割合で分ける事ができません。

【事例】

遺産:自宅不動産(2000万円)・預貯金(1000万円) 合計3000万円

相続人:配偶者・長男・長女

上記の事例で考えてみます。

法定相続割合は

配偶者:1/2
長男 :1/4
長女 :1/4

上記の様になります。

「法定相続分」で換算すると

配偶者:1500万円
長男 :750万円
長女 :750万円

このようになります。

しかし不動産が2000万円です。

不動産は分ける事ができません。

法定相続分に従って「共有」する事もできますがデメリットが多いです。

「共有」のデメリットについては下記の記事をご覧ください。

不動産の共有相続のメリット・デメリット|行政書士が分かりやすく説明

不動産の共有相続のメリット・デメリット どんな時に「共有」になるのか 「共有」のメリット・デメリットについて説明

現実的に「法定相続割合」できっちり分けるのは非常に難しいです。

これらの理由から「法定相続割合」ではなく「遺産分割協議」をして決める事が一般的になっています。

法定相続割合は目安

先程「遺産分割協議」をして決める方法が一般的と説明しましたが、ではなぜ「法定相続分」が民法で定められているのでしょうか。

「遺産分割協議」とは相続人全員でどのように遺産を分けるかを協議で決めます。

目安となる数字があると協議がしやすいですよね。

多くの場合は「法定相続分」の割合を目安に「遺産分割協議」を行います。

あくまで目安ですので「法定相続分」と全く違う分割でも相続人全員が合意をしていれば問題ありません。

最後に

いかがでしたか。

ご相談者の方から「法定相続分」は「法定」だから絶対なんだよね。

このように、ご質問を頂く事があります。

確かに「法定」と付いていますので勘違いしやすいです。

しかし現実的には「目安」として使用される事が多いです。

もちろん「法定相続分」で分ける方が「公平感」があるので「法定相続分」で相続する方もいらっしゃいます。

「遺産分割協議」「法定相続分」で迷っている時は専門家に相談してください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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