LGBTQ+|遺言書の必要性|行政書士が分かりやすく説明

今回はLGBTQ+の方々に向けた「遺言書」の必要性について解説していきます。

参考にしてください。

遺言書の必要性

現在の法律では「同性婚」は認められていません。

同性パートナーと法律婚の様な権利義務を発生させるには様々な契約を用いて実現させる事になります。

  • 同性パートナーシップ合意契約書
  • 任意後見契約
  • 財産管理委任契約
  • 医療意思表示書

これらの契約により法律婚と同等の権利義務を発生させます。

しかし上記契約書では相続については効力がありません。

そこで必要になってくるのが「公正証書遺言」になります。

同性パートナーは法律上の「法定相続人」にはなれません。

相続に関しては「遺言書」を作成しておかないとパートナーに財産を渡す事ができません。

遺言書の種類

遺言書には大きく分けて「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。

違いについて簡単に説明します。

自筆証書遺言

これは遺言者が自書して作成する遺言書になります。

ご自身で作成できますので気軽に作成する事ができます。

しかしデメリットが多いのが難点です。

まず「自筆証書遺言」には法的な要件があります。

せっかく作成しても法的要件を満たしていなければ「無効」になってしまします。

また記載内容が曖昧でわかりにくい内容だった場合も同様に「無効」になる事があります。

その他にも自書しますので「字が読みにくい」「字がかすれて読めない」などの理由から「無効」になる事があります。

通常の法定相続人であれば「無効」になっても法定相続分で分ける事ができますが同性のパートナーは法定相続人ではありませんので作成した「自筆証書遺言」が無効になれば何も財産を貰う事ができません。

従って同性パートナーの遺言では「自筆証書遺言」はお勧めしません。

次でご紹介する「公正証書遺言」の作成を検討してください。

公正証書遺言

「公正証書遺言」は公証人の先生に作成してもらいます。

信憑性が高く確実な遺言書です。

公証人の先生が作成しますので「自筆証書遺言」のデメリットは全て解消されます。

「無効」になる事もありません。

公証役場へ出向いたり作成するのに費用が掛かるのはデメリットですが確実な遺言書ですので作成して損はないとおもいます。

同性パートナーの方々の遺言書作成は「公正証書遺言」を強くおすすめします。

作成時の注意点

同性のパートナーに財産を渡す遺言を作成する時の注意点をご紹介します。

遺留分に注意

遺留分とは簡単に説明すると特定の相続人がもっている「最低取分」です。

例えば同性のパートナーに財産の全てを渡す内容で遺言書を作成すると特定の相続人には「遺留分」がありますので同性のパートナーに対して「遺留分」を請求される事があります。

相続人から同性のパートナーに対して「遺留分があるからその分は財産をわたせ!」と請求する事ができるのです。

この「遺留分侵害額請求」でトラブルになる事もありますので作成する時は「遺留分」に注意をしてください。

「遺留分」について詳しくは下記の記事をご覧ください。

遺留分とは?|行政書士が分かりやすく説明します。

遺留分とは? 遺留分の概要・遺留分の割合・被相続人の兄弟姉妹との関係など具体例を使用して説明しています。

同性パートナー以外の相続人の「遺留分」を侵害しない範囲で遺言書を作成したり、どうしても全財産を同性のパートナーに渡したい場合は遺言書の「付言事項」を利用してください。

「付言事項」とは遺言書の中で自分の気持ちを記載する事ができます。

なぜ同性のパートナーに全財産を渡したいのか、自分の気持ちの部分を記載する事ができます。

注意して欲しいのが「付言事項」に法的効力はありません。

ただし「付言事項」を記載するかしないかで相続人の反応も変わってきますので「付言事項」の活用をおすすめします。

「付言事項」について詳しくは下記の記事をご覧ください。

エンディングノート・付言事項の重要性|行政書士が分かりやすく説明

エンディングノート・付言事項の重要性|行政書士が分かりやすく説明 「家族への想い・メッセージ」の大切さ、重要性やエンディングノート・付言事項の効果を説明していま…

遺贈の方法に注意

同性パートナーに財産を渡す場合は「相続させる」のではなく「遺贈する」と記載します。

「遺贈」とは相続人以外の人に自分の財産を渡したい時につかわれます。

同性パートナーは法律上は相続人ではありませんので「遺贈する」と記載します。

ここで注意が必要です。

「遺贈」には2種類あります。

  • 特定遺贈
  • 包括遺贈

上記の遺贈についても下記の記事で解説しています。

遺贈とは?|行政書士が分かりやすく説明

遺贈とは何か。 遺言書で遺贈する時の「遺留分」の配慮や「特定遺贈」「包括遺贈」の遺贈の種類の説明・注意点などを説明

ここでも簡単に説明します。

特定遺贈

特定遺贈とは「この不動産は○○○○に遺贈する」「この銀行の預金は○○○○に遺贈する」など渡したい財産を特定して渡す事です。

包括遺贈

この「包括遺贈」に注意が必要になります。

これは「自分の財産の1/3を○○○○に遺贈する」など割合できめる遺贈方法です。

特定遺贈と違い渡す財産が特定されていません。

どのように分けるかは「遺言書」に記載されている相続人との間で「遺産分割協議」をして決める事になります。

同性のパートナーが他の相続人と協議をして決めるのです。

相続人と同性パートナーとの間でトラブルになる事もあるでしょう。

私は「特定遺贈」をおすすめします。

最後に

いかがでしたか。

今回はLGBTQ+の方々に向けた「遺言書」について解説しました。

同性パートナーに財産を渡したいなら「遺言書」は必須です。

私のおすすめとしては

  • 公正証書遺言で作成
  • 遺留分に注意する
  • 特定遺贈の方法で遺贈する

この方法が良いと思います。

もちろん1人1人色んな事情がありますので状況に合わせて作成する必要があります。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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