遺言書で自分が全財産相続する事に!|行政書士が分かりやすく説明

今回は「遺言書」で自分に全財産を相続・遺贈させる内容だった時の対応について解説したいと思います。

  • 全財産をもらうのは気が引ける
  • 他の相続人との関係が悪くならないか。

など不安に思う人も多いようです。

そんな時になにができるのか解説したいと思います。

遺言書の効果

「遺言書」に全財産を相続・遺贈させると書いてあった時に、その内容は有効なのでしょうか?

結論としては「遺言書」は有効です。
※自筆証書遺言の場合は法的要件などから「無効」の場合もあります。

原則「遺言書の内容に従って財産を分ける」事になります。

遺留分の問題

特定の相続人には「遺留分」があります。
※被相続人の兄弟姉妹には「遺留分」はありません。

遺留分」とは特定の相続人がもつ「最低取分」です。

被相続人の財産の中から最低これだけはもらえるという制度です。

「遺言書」で全財産を特定の人に相続・遺贈する場合は「遺留分」の問題が出てきます。

「遺留分」について詳しくは下記をご覧ください。

全財産を相続・遺贈する事に不安があるとき

冒頭でご紹介した様に「全財産を所得する事」に不安を感じる人もいると思います。

その時にどんな対応ができるのでしょうか?

遺言者の気持ちを尊重する

被相続人が「遺言書」で特定の人に全ての財産を渡すと決めたのには必ず理由があるはずです。

「その様にしないと相続人間でトラブルがおきるのではないか」「この相続人は同居して介護を頑張ってくれた」など考えた上で「遺言書」を作成しているはずです。

「エンディングノート」や「遺言書の付言事項」がある場合には被相続人の想いが書いてあると思います。

被相続人の想いを相続人全員で共有する事が大切です。

「エンディングノート」「付言事項」については下記をご覧ください。

被相続人が何故このような分け方をしたのか理解できるとその後の対応にも変化が出るかもしれません。

元々「遺産」は被相続人が生前に築いた財産です。

被相続人の想いを1番に考えてあげてください。

遺産分割協議をする

「遺言書」がある時は原則は内容の通りに分ける事になります。

「全財産を取得する人」が相続人間で平等に分けたい等の想いが強く他の相続人全員も合意をするのであれば「遺言書の内容」ではなく相続人間で「遺産分割協議」を行う事も可能です。

「遺産分割協議」をする時もなるべく被相続人の想いに沿った内容で協議する事をおすすめします。

ここで重要なのが「相続人全員の合意」が条件になります。

1人でも反対する人がいると「遺言書の内容」で分ける事になります。

遺産分割協議書を作成する

相続人全員の合意があり「遺産分割協議」を行った時は「遺産分割協議書」を作成してください。

その時に「被相続人は○○年〇月〇日に自筆証書遺言を作成しているが相続人全員の合意で遺産分割協議を行った」などの文言を冒頭に記載してください。

原則は「遺言書」が優先しますのでこのような内容を記載してください。

遺留分を支払う

「遺留分」:特定の相続人が有している最低取分

これを支払う事で解決する方法です。

遺留分を請求する事を「遺留分侵害額請求」といいます。

遺留分の考え方や計算方法・遺留分侵害額請求などは下記をご覧ください。

「遺留分」を支払う場合は「遺留分に関する合意書」を作成してください。

後々のトラブルを防止する事ができます。

遺贈により財産を所得する場合

「遺贈」とは基本的には相続人以外の人間に遺言書で財産を渡す事です。

例えば「お世話になった人」「お世話になった団体」など

相続人ではない第三者に渡す事を「遺贈」といいます。

詳しくは下記に記事をご覧ください。

第三者が「全財産を遺贈」された場合にはどのような対応ができるのでしょうか。

遺贈を放棄する

第三者ですから相続人との関係を考えて「放棄」したいと考える人もいるでしょう。

「遺贈」は放棄する事ができます。

「遺言書」の中での遺贈の方法によって放棄のやり方が変わってきます。

以下で解説します。

特定遺贈の場合

「特定遺贈」とは遺言書の内容で「この不動産を遺贈する」「○○銀行の預貯金を遺贈する」など渡したい財産を特定して記載されている場合です。

この場合は「不動産のみを放棄する」「○○銀行の預貯金のみを放棄する」と財産ごとにどうするか決める事ができます。

特定遺贈の放棄

  • 放棄するのに期間は定められていない。(いつでもよい)
  • 相続人・遺言執行者に意志を伝えればよい。(口頭でも可)
  • 意志を伝える時は書面がベスト(内容証明など)
  • 一部の財産のみ放棄する事が出来る

相続人・遺言執行者に放棄する意志を伝えればOKです。

口頭でも可能ですが後々の事を考えて「内容証明」等の書面で意志を伝えることをおすすめします。

「受遺者」が放棄した財産は相続人に帰属します。

放棄した財産を相続人間でどの様に分けるかは相続人での「遺産分割協議」により決まります。

包括遺贈の場合

「包括遺贈」とは財産の1/3など割合で指定されている場合です。

「財産の1/3を○○○○に遺贈する」

このような記載がある場合は「包括遺贈」になります。

「全財産を○○○○に遺贈する」

この場合も「包括遺贈」になります。

割合で遺贈されますので被相続人に借金がある場合などは借金も受取る事になりますので注意が必要です。

「包括遺贈」の時の放棄の方法は「特定遺贈」とは異なります。

包括遺贈の放棄

  • 自己に遺贈があったことを知った時から3か月以内に放棄しなければならない
  • 一部の財産だけ放棄はできない
  • 家庭裁判所で放棄の手続きが必要

「包括遺贈の受遺者」は相続人と同一の権利義務を有します。

このことから「放棄」する時も相続放棄の規定が適応されます。(3か月以内にどうするか決める)

期間内に放棄しない時は「遺贈を承認」した事になります。

また「全財産を遺贈する」内容の場合などに全財産のうちの1/2だけ「放棄する」などはできません。

「放棄」するなら全てを放棄する事になります。

「放棄」する時の手続きも「相続放棄」と同様に家庭裁判所へ申し立てる必要がでてきます。

遺留分を支払う

これは相続の時と同じです。

遺贈によって「遺留分を侵害している」時は「遺留分を支払って」解決する方法です。

「遺留分についての合意書」も同様に作成しておいてください。

最後に

いかがでしたか?

相続でも遺贈でも特定の人に偏った内容の遺言書はトラブルになる事があります。

特に「全財産を渡す」場合は「遺留分」の問題も出てきてトラブルになりやすいです。

今回は自分が考える対応方法についてご紹介しました。

「遺言書の作成」をする時に「遺留分」の事も考えて作成することや、どうしてもこの内容にしたい時は「エンディングノート」「遺言書の付言事項」でしっかりと自分の気持ちを相続人に伝える事が重要になってきます。

よろしければ下記の記事をご覧ください。

是非、参考にしてください。

投稿者プロフィール

【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
【行政書士】【相続診断士】 長谷川健治
名古屋市天白区平針の【遺言・相続専門】行政書士アフェクション法務事務所の代表行政書士です。
【相続診断士】の資格も保有しております。
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